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介護やリハビリあるある

リハビリ意欲を引き出すポイントと効果的な声かけ

医療や介護で働いているリハビリ職員さんは、リハビリ意欲の低下に悩んでいる人が少なくないと思います。まだ、病院入院患者さんは在宅復帰に向けて拒否なく取り組まれるか方が多いとは思いますが、介護現場(在宅・施設)では意欲低下している方が多いのではないでしょうか。

急性期から維持期、在宅や施設などを経験してリハビリを行う際に重要になってくるのが、声かけだと思います。声かけ次第で拒否や不穏に繋がったりする場合もあります。

リハビリテーション効果を高める要因の一つには利用者さんや患者さんの意欲的な取り組みが必要です。意欲を引き出すポイントと効果的な声かけ方法を紹介したいと思います。

意欲とは

自ら進んで何かをしようと思うことで、種々の動機の中から選択した目標に、積極的に働く意志活動のことです。

そうしたいと思う心。積極的にやろうとする意志。また、自ら進んで望むこと。種々の動機の中からある一つの目標を選んで意志が積極的、能動的に働くこと。心の中の欲念。

デジタル辞書より

行動の推進力であり、能動性(他人からの働きかけを待たずに自ら活動するとと。受け身でない活動)が必要になります。

リハビリ意欲の重要性

運動に積極的に取り組むためには、「リハビリに取り組む意欲」が重要な要素になります。また、運動の効果や心身機能の回復にも影響します。自ら進んで運動を行うことが在宅復帰後の生活動作の維持や身体機能維持・向上にも影響していくると在宅や通所で働いた時に感じました。実際に過去の研究により、回復意欲がある人とない人よりも生命後がよく、加えて回復意欲が日常生活動作の自立度にも影響することが報告されています。

リハビリテーションを施行するうえで患者様・利用者さんの意欲を引き出すことが重要な課題になります。

意欲低下の問題は本人の問題なのか?

意欲低下が感じられる時に、まず本人の意欲だけのかの問題を考える必要があります。知らず知らずのうちに、難しいことを要求してしまっているケースがあるからです。特に身内である家族の場合、長い時間を共にしてきたからこそ、以前の菅谷を無意識に比べてしまい、以前のようにしっかりとした姿になって欲しいという気持ちから「どうしてこれくらいのこともできないの?」と強い口調になってしまうことも多く現場ではみられます。

加齢や病気によって体の感じ方や力の入れ方、動き方が変化し本人様も動けないことで戸惑いを感じて障害需要ができておらず、苦しみや悲しみ、思いを受け止めてあげることが必要です。

文献でも否定的な評価を含む言葉や指示・職員側の都合を押し付けるような言葉は、患者さんや利用者さんのやる気を失うような声かけを気付かないうちにしてしまっている可能性があると言われています。また、声かけだけでなく、表情や語調によっても意欲低下の要因になっているようです。このことを念頭に置いて、患者さん・利用者さんと接していくことが大切になります。

意欲を低下させる声かけとは否定的な評価を含む言葉、指示・命令形の言葉、スッタフ側の都合を押し付ける言葉が含まれています。否定的な評価でも「家に帰ったときに困らないようにトイレの練習をしましょう」、「トイレができないと家に帰れませんよ」は、後者の方が、より否定が強いため、やる気を失う患者さんや利用者さんが多くいたそうです。

「本当に痛いんですか」「まだだから待って」「今日はダメでしたね、気をつけましょう」は患者さん・利用者さんのやる気を失う声かけの上位であり、10〜15%のスタッフが使用していることも研究より判明しているそうです。やる気を失う声かけを使用している者がいることから、きづかないうちに患者さんや利用者さんの意欲を低下させている可能性があります。このことを念頭に置いて、患者さん・利用者さんと接していくことが必要になってくると改めて思いました。

才藤栄一らは言葉によって伝えるメッセージは全体の35%に過ぎず、残りの65%は言葉以外の表情・語調によって伝えられると述べています。そのため、言葉以外の手段も考慮する必要があると考えています。

リハビリテーションにおける患者様への効果的な声かけについて 専門リハビリ 第3巻 25〜29貢(2004年)

高齢者が意欲低下してしまう原因

意欲が低下してしまう原因は様々ですが、

・身体機能の低下 ・生活の変化 ・認証アパシーなど要因はたくさんあります。

これらの要因が影響し合う事で、活動性の低下と「閉じこもり」と言われる状態をうむことが原因で廃用症候群になり、動きが億劫になると人との関わりや活動性が低下しさらに悪循環を招きやる気も意欲も低下してしまうようです。

介護予防の概念に関して、介護状態に陥ったり、要介護状態が悪化することなく、できる限り健康でいきいきとした生活がおくれるようにするこのであり、要介護状態を予防するだけでなく、要介護状態になっても可能な限り心身の衰えを抑制し、生き生きとした生活を継続できるように支援するということです。つまり、介護予防は介護保険制度の理念に謳われている自立を支援することにもつながると捉えられるものである。

介護予防の1番のねらいは廃用症候群の予防。

廃用症候群は•老齢による体力低下•疾病•障害といった身体的要因、家屋構造、周囲の接し方•態度、友人の存在等の環境要因、活動意欲のていか、障害需要ら性格といった心理的要因の3つが相互に影響しあうことにより、活動性の低下とじこもりといわれる状態を生むことが原因。

また、高齢者は転倒するから危ないと周囲からいわれ若者に迷惑をかけないようにと日常生活における活動性を低下させ、静かに老後を過ごそうとするなど、さらに悪循環を招く原因と考えられる。

日常生活の中でも問題になることが多く、機能回復や社会復帰に与える影響についてもいくつか文献で報告されているようです。

高齢者の活動意欲に対する介護者の声かけの影響 木林 身江子他 静岡県立大学 短期大学部 第21号 2007年

意欲向上に欠かせない要素

リハビリ意欲を向上させるうえで考えないといけないのは、利用者さんや患者さんが主体であることです。利用者さんや患者さんの希望が目標に大きな影響を与えます。

患者さんや利用者さんが主体で目標設定する必要があり、手段を先行してスタッフや職員主体の目標にならないように注意しましょう。

利用者さん・患者さん自身が積極的に意識しやすい運動に取り組める目標設定が大切になります。家族のニーズなどもあると思うのでしっかりリハビリ前に家族・利用者さん、患者さん含め話し合うことが重要です。

やる気を引き出すポイント

意欲を引き出すためには、医療や介護側のサポートが大切です。声かけをして行動を促そうとしても、逆効果になることもあります。相手の気持ちに寄り添いながら、本人様の好きなこと(趣味や興味のあることなど)を一緒に行ってみたり訴えを傾聴しながら少しづつ関わりや活動を増やしていきましょう。時間をかけて、関わっていくことが大切です。病院では、時間をかけることが難しいと思いますが、家族に協力してもらったり表面的な言葉だけでなく、「なぜ?」という考えを掘り下げながら、本人様の思いや感情を受け止めていくことが大切です。

認める・褒める言葉で意欲向上

いくつになっても頑張っていることを他人から認められたり褒められたりすると嬉しくなった経験はないでしょうか。誰かに認められることは「次も頑張ろう」と思えるきっかけになります。ただ、漠然と声かけするのではなく、「〇〇ができましたね!」など気づいた点を具体的に伝えることが大切です。

”ほめらて人は伸びる”と昔から言われますが、実際にその言葉を科学的に証明する研究結果が、米オンライン科学誌「PLOS ONE」で明らかとされています。また愛知県岡崎市にある自然科学研究機構生理学研究所の定藤規弘教授(神経科学)らの研究グループで実験した結果、運動直後に褒められたグループは前日の練習から20%成績が伸びたのに対して、他のグループは13~14%の伸びにとどまったそうです。

患者さんや利用者さんは毎日、様々な葛藤の中で生きています。そのうえ、リハビリという毎日の運動を意欲的に継続するには、よほどのやる気はないと難しいです。患者さんや利用者さんの全ての動作に対して、リハビリ職員が具体的な例を挙げて声かけしていたことに感銘を受けたと言われている人もいます。進歩があれば患者さん・利用者さんにとって大きなメリットになります。患者さん・利用者さん自身のモチベーションを高め、褒めて認められるとい「喜び」を感じてもらえるような声かけが大切です。

患者さん・利用者さんのペースを大切にする

ペースに合わないリハビリは、ストレスやプレッシャーになり、意欲低下の原因になります。無理のあるペースのリハビリは継続は困難です。本人にとって困難で辛い運動は継続が難しく拒否などにも繋がりやすいです。できるだけ本人様のペースで進めることが大切です。

環境づくり

騒がしかったり、人の出入りが多いとリハビリに集中しにくくなる方もいます。また、心配事などあると積極的に取り組むことができません。リハビリを行う際は、落ち着ける場所などの環境を整えましょう。また、時間帯を変えてみたり、スタッフを変えてみたりなど色々工夫してみるのもありだと思います。

多様な声かけを心がける

認める・褒める時にもお伝えしましたが、同じような声かけになったりすると飽きてしまったりするので毎回同じような声かけにならないように配慮しましょう。また、「運動にいきましょう」などと声かけすると「運動は嫌い」「歳やからできない」などと拒否されたり、運動はしないという方もいらっしゃいます。「散歩にいきましょう」やトイレなど移動時に関わるなど工夫しましょう。また、趣味などある方は上手く趣味活動を活用し関わると拒否されることも減ると思います。

文献でも意欲を向上できる声かけは、励まし、共感、賞賛、目標を示す言葉、肯定的な評価を含む言葉だったそうです。介護度の低い高齢者では、肯定的な明るいポジティブな声かけに意欲を引き起こし前向きな行動にも繋がったと報告があります。

介護度の低い高齢者にとって、肯定的な声かけは、活動意欲を引き起こし、自ら行動を起こそうとする時の後押しになると考える。また、また、肯定的に認められれば次の活動への意欲に働きかけることとなる。そこで重要なことは「言葉」であり、「明るい言葉」を多用すれば、自分の感情も明るくなり周囲に人の感情も明るくすることができそれが前向きな行動にも繋がるということである。

高齢者の活動意欲に対する介護者の声かけの影響 木林 身江子他 静岡県立大学 短期大学部 第21号 2007年

目標設定と達成感の提供

本人さんや家族のニーズを目標に設定し、利用者だけでなく周囲の人にも目標を共有しましょう。また達成感を共有することも大切です。目標に対して部分的に達成している点があれば、それを細かく伝えましょう。目標に向けて達成できることが徐々に増えると、意欲維持や向上につながりやすくなります。

家族や周囲のサポート

一人でリハビリを頑張り続けることは難しいです。私でも好きなサーフィンでさえモチベーションを保つのは至難の技です。家族や周囲の協力を得ながら、本人様のサポートしていくことが継続しやすくなります。

また、目標や頑張りを共有することもやる気につながります。何のために頑張っているのか?どこまでできればOKなのかの再確認をしながら持続的に共有していくことが大切です。

QOL(Quality of life:生活の質)と意欲の関係性

高齢者介護において、生活の質を充実されることが重視されるようになりました。QOL(生活の質)を充実されるためには、身体要因、環境要因、心理的要因に起因する廃用症候群予防が必要となります。

生活機能とQOLは密接に関係しており、生活に対する意欲は生活機能やQOLに大きく関わってきます。

まとめ

・リハビリの原則は「患者様・利用者様が主体」であることを忘れない

・相手に寄り添い話をしっかり聞く

・本人様・ご家族さんや周囲の方としっかり話し合い目標の方向性を決めておく。また、必要時はご家族や周囲の方にサポートをしてもらう

・認める・褒める・励まし・共感・賞賛・目標を示す言葉、肯定的な評価を含む言葉での声かけをする。介護度の低い高齢者では、肯定的な明るいポジティブな声かけに意欲を引き起こし前向きな行動につながるが、介護度が高い方やうつ症状がある方は逆効果になる場合があるので臨機応変の対応が必要。

スタッフの対応や声かけで不穏や拒否につながっているケースも多く見てきました。相手の立場で考えて寄り添うことが大切です。声かけや対応する姿勢も患者さんや利用者さんはよく見ています。患者さんや利用者さんの話を聞いて挙げて肯定的な声かけや漠然と声かけするのではなく、具体的に伝えていきましょう。

ABOUT ME
rin8818hayashi
1987年生まれ。生まれも育ちも福岡の田舎です。 3年前にサーフィンライフを楽しむために宮崎へ移住。 経歴:専門学校卒業、国家資格を取得(平成21年)し、リハビリ職として15年間急性期〜維持期、在宅や通所・老健と医療や介護に携わってます。 自分の怪我の経験から普通の生活が送れることの有り難みや、多くの病と闘っている方々との関わりから何不自由なく好きな事をして過ごせている事がどれほど幸せなことなのか実感しています。 人生は一度きりです。どうすれば自分らしく生きれるのか、毎日笑顔で過ごせるのか、自分を幸せな気分にできるのか、そんなことを探しながら幸せの日々を噛み締めています。 ブログのテーマ ”自分が自分らしく生きれるためのちょっとしたコツを見つける!”