呼吸は「呼気(吐く)」と「吸 気(吸う)」のサイクルで成り立っており、自然な呼吸は、吸うことではなく、吐くことに重要な意味があります。リハビリ職として呼吸器系の疾患の方を担当した際は、吐くことを意識させるような呼吸法の指導を行います。
最近では日本の舞踊や舞、瞑想やヨガなどで呼吸法を見ることが多いと思います。また、健康法の本などでも呼吸法の本が増えているように感じます。現代人は胸の上部だけを使って呼吸をしている人が増えておりストレスによりさらに浅い呼吸になりやすいと言われています。腹式呼吸を意識して行うことで様々なメリットがあるので紹介したいと思います。
呼吸について
呼吸は自発性、反射性、随意性、精神性の4種類の調節を受けて、血中の酸素や二酸化炭素の濃度を保つ働きをしている。
肺は、自ら膨らまずに、胸腔の容積が増加した時にのみ膨張する。人は主に横隔膜の収縮によって肺は膨らむが、肋間筋が収縮して胸郭が上向き及び外向きに引っ張られる事で膨張される。力強い呼吸では、肋骨や胸骨から頚椎や頭蓋底にかけて存在している呼吸補助筋がポンプハンドルやバケツハンドル運動を通常時の呼吸より大きくしており、胸腔の容積にさらなる変化をもたらしている。空気を排出する際にはこれらの筋肉が全て弛緩し、胸部や腹部の筋肉が安静位と呼ばれる位置に戻る。 ウィキペディアより
呼吸には、胸式呼吸と腹式呼吸があります。
胸式呼吸は横隔膜をあまり動かさない浅い呼吸のため、一度に吸える量は少ないですが、素早く呼吸できます。腹式呼吸は息を吸う際にお腹を膨らませ、横隔膜を大きく動かします。一度に吸える空気量も多、胸式よりも深い呼吸になるため、リラックスしている時におこなています。
腹式呼吸 やり方
腹式呼吸の方法は、鼻からゆっくり吸いお腹を膨らますイメージで行います。次に口からゆっくり息を吐き出しながら、お腹をへこましていきます。その際に吸った時の倍の時間をかけるつもりで吐き出します。
行う場合はお腹に手を当てて行うとやりやすいと思います。鼻から吸い込むのは口呼吸よりも呼吸を多く吸い込め、より深い呼吸ができリラックス効果も上がります。
腹式呼吸のメリット
リラックス効果(ストレス軽減)
腹式呼吸の最大のメリットです。人はストレスや不安、緊張などが強くなると運動をしなくても、息が上がる場合があります。これは、呼吸が浅くなる原因です。ゆっくり深呼吸を行う事で、副交感神経が優位に働くため気分が落ち着いてリラックス効果が期待できます。大切な会議やスポーツの大会に出場する際などプレッシャーがかかる時は、腹式呼吸をする事で平常心を維持できるようになります。
睡眠改善
腹式呼吸は、上記でも説明したようにリラックス効果が期待できます。迷走神経が刺激され副交感神経が優位になり、リラックスできます。そのため就寝前にゆっくり大きい呼吸を数回行うことで、リラックス状態になり、眠りにつきやすくなるので、寝付けない時は腹式呼吸をすることをお勧めします。
免疫力が上がる
副交感神経作用で、リンパ球を増やす効果が期待できるため、身体を守る免疫力を上げる作用も期待できます。
インナーマッスルが鍛えられる
ゆっくり呼吸を行い、しっかり吐き出すことでインナーマッスルである腹横筋などが鍛えられます。インナーマッスルが鍛えられることで、基礎代謝も上がりダイエット効果にもつながると思います。
便秘解消効果
腹式呼吸をする事で横隔膜が働き内臓が刺激され、活発に働くようになります。そうすることで便秘の解消なども期待されると言われています。
代表的なものに、「岡田式呼吸静坐法」、「二木式腹式呼吸法」、「藤田式野心調和法」など があり.いずれも健康の維持・増進の目的をもって民間に広まったという。呼吸法に関心が寄せられてきた背景には一般的に健康の維持や増進、あるいはダ イエットなどの効用が期待されていたためであろう。実際、上記の呼吸法によって得られる効能 には、.血液循環の改善、呼吸機能の向上、胃腸運動の改善、神経衰弱や不眠の予防、肥満や痩せ の改善などがあげられていた(村木2001b;高橋,2005;高橋,2006)。また.二木式呼吸法には 「心胆を練り大胆の気象を養ふ」とか、岡田式静坐法では「神気を落着け、胆を練り、頭を明快にし、外囲を支配する気魂を養ひ心身を強健にする」などの記述がみられ.身体機能のみならず 精神的な効果も強調されていた(高橋,2005)これらの点は、もともと病弱であった創始者の岡田虎二郎や二木謙三が白隠禅師(「夜船閑話』)や平田篤胤(「志都能石屋』)の影響を受け(高 橋,2005;高橋,2006)、自ら呼吸法を実践して健康を回復していった経験に支えられていたと考 えられる。実際、「志都能石屋』には修行中に体調を崩した弓隠が丹田(腹式)呼吸で元気を取り戻したことや、篤胤の父が若い頃病身であったがある老人から「麟下に気を練り畳むの修法」 (就寝時、脳下を意識しながら呼吸を数える手続き、坐禅の数息観と考えられる)によって長寿 を全うしたエピソードが記されている(平田篤胤全集刊行会,1977)。
上記の呼吸法を含め、今日紹介されている呼吸法を概観すると.特殊なものを除き、その特徴は(意識的に)腹式の呼吸’を‘‘ゆっくり行うこどに集約される。腹式の呼吸とは吸気の際に下腹部が膨らみ、呼気ではそれがしぼむ様態の呼吸だが、呼吸運動の仕組み(肋骨と横隔膜の運動によって肺に空気が取り込まれること)からすると、腹式呼吸では能動的に引き起こされる横隔膜の運動が重要な役割 を担っていると考えられている。ただし.岡田式の呼吸法は胸式を採り、吸気時に腹部はむしろ 萎むとされているが(高橋2005)、これにおいても横隔膜は活発に運動していると考えられる。 村木(2001b)および帯下(2006)は腹式呼吸を介して横隔膜を運動させることにより内臓をマッ サージする効果が生まれ、このことが血液循環を良くすると主張している。また、能動的な横隔膜の運動は内臓のマッサージを通して静脈の還流を助け肺に多くの血液を送ることになるため、 二酸化炭素と酸素のガス交換の効率を高める(肺機能を向上させる)ことを示唆している。さら に.横隔膜の運動が腹腔神経叢を刺激することで自律神経機能を活性化させ、総じて内臓の働きを助けるのではないかとしている。
肺のガス交換効率、休息機能、身体の適応状態
坐禅やヨガにおける呼吸によって身体のエネルギー代謝は節約される方向へ向かうことか ら(宮村,2003;Sugi et aL,1968)、呼吸法を実施することによる呼吸性不整脈の増大は肺のガス交換効率を高め、心身の休息・回復機能として貢献している可能性がある。 他方、心拍変動の増大は、病気からの回復期やリラクゼーション状態において発現する事実か ら、呼吸によって心拍変動の増大した状態を発現、維持できるように訓練するならば、身体をより適応的な状態に導びく可能性のあることが示唆される。これについては、呼吸法の訓練過程で 心拍変動のあり方を観察し、その推移を検討していく必要があろう。
※呼吸法はなぜ健康によいのか? 心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果 榊 原 雅 人
呼吸と動作の組み合わせによって身体感覚が異なり、長い息が気持ちを落ち着かせる効果があるなどである。呼吸のトレーニングを少し行うだけで、主観的なストレス反応が顕著に低下することが確かめられた。
深呼吸の健康心理学的考察 益 谷 真 ・ 益 谷 望永田 晟 2000 呼吸の奥義 ― なぜ「吐く息」が大切なのか 講談社
まとめ
・呼吸にて胸式呼吸と腹式呼吸があります。人はみんな寝ている時は腹式呼吸になっていますが、日中は胸式呼吸をおこなっています。
・現代人はストレスが多く、緊張が続くため浅い呼吸の方が多くなっているため自律神経が乱れ不眠症になったりします。
・腹式呼吸のやり方は、鼻からゆっくり吸いお腹を膨らますイメージで行います。次に口からゆっくり息を吐き出しながら、お腹をへこましていきます。その際に吸った時の倍の時間をかけるつもりで吐き出します。
・腹式呼吸は意識して行わないとできないです。やりすぎは眩暈などの原因になるので数回やるようにしましょう。
・腹式呼吸を行うメリットは色んな文献で報告されています。・ストレス軽減・リラックス効果・睡眠改善・インナーマッスルが鍛えられダイエット効果あり!・便秘解消などです。
・大切な会議や試合などでも深い呼吸を行うことで緊張感がほぐれ平常心で行けるため緊張する場面では深い呼吸や腹式呼吸を行うといいと思います。
・寝る前になど意識的に数回おこなだけでリラックス効果もあり眠りにつきやすくなるのでお勧めです!
深い呼吸、腹式呼吸を行い、身体に酸素をしっかり入れて横隔膜を動かし内臓を刺激させるだけでなく副交感神経も優位になりリラックスして落ち着いた時間を過ごしていきましょう🎵