食べることは毎日、しかも朝昼夕と1日のうちでも3回全ての人が関わっています。食事を変えることで色んな効果があるのもみなさん知っている方も多いのではないでしょうか。
よく聞くのが、体臭が消える、野菜から食べればダイエット効果、腸内環境、皮膚の状態など多くの情報が溢れています。
今回論文などでエビデンスがあると言われている効果を紹介したいと思います。
野菜の魅力
彩りをよくし食感を楽しみながら味わえる野菜。種類も豊富で季節で採れる野菜を色んな調理法で楽しみながら料理し食べるのは魅力の一つです。そして野菜にはビタミン、ミネラルだけでなく食物繊維も含まれているので身体にも良いとされています。栄養が豊富な野菜は体を作ったり、エネルギーになる栄養素がうまく働くための役割も担っています。
ービタミンの働きー
ビタミンA;皮膚・粘膜の保護、感染予防、成長促進、抗酸化作用
ビタミンB群:糖質や脂質、タンパク質代謝の補助
ビタミンC:抗酸化作用、コラーゲンの合成
ビタミンD:骨形成、筋肉収縮
葉酸:造血作用、DNA合成
ーミネラルの働きー
カルシウム:骨や歯の形成、神経や筋肉の機能調節
鉄:赤血球の構成成分、酸素の運搬と貯蔵
カリウム:ナトリウムの排泄促進による高血圧予防、筋肉収縮の正常化
ー食物繊維の働きー
不溶性食物繊維:便秘予防・改善、満腹感による過食防止、有害物質の排泄促進
水溶性食物繊維:腸内環境の改善、食後血糖値の上昇を緩和、コレステロールの吸収抑制
厚生労働省にて1日の野菜の摂取量は350g以上と言われています。野菜料理1日5皿分(1皿70g)が目標になります。てばかり法では、1食分の生野菜であれば両手いっぱい、加熱した場合は、片手に乗る量が1食分に相当するそうです。
野菜から食べる効果
ダイエットをしている方は、食べる順番に気を使い、まず野菜から摂取している方が多いのではないでしょうか?私も、まず野菜類(味噌汁の野菜の具・副菜)から食べるようにしています。血糖値の上昇を抑えてくえるからという理由を聞いたことがあります。
・野菜から食べることで血糖値上昇の抑制効果があります。研究結果より同じ食品でも野菜から摂取することで食後高血糖が改善し、血糖変動幅を縮小することができたと報告されています。
実際の研究で2型糖尿病患者における食品の摂取順序の違いで血糖値を調べた。炭水化物から摂取した日は、毎食後の血糖値のピークが3食とも300mg/dlを超え、特に朝食後の血糖値は360mg/dlまで上昇した。また、昼食前、夜間に低血糖をおこし、血糖変動幅が大きかった。ところが、同じ患者が野菜から摂取すると、食後の血糖値が100〜150mg/dlも下がり、血糖変動幅も大きく減少した。以上の結果から、同じ栄養量の食事を摂取しても食品の摂取順序を野菜から摂取に変えるだけで食後の高血糖が改善し、24時間の血糖変動幅を縮小することができた。
また、毎食野菜から摂取する摂取順序を指導した時の長期の血糖コントロールを検証した。指導群の血糖コントロールは、糖尿病罹病期間あるいはインスリンや経口血糖降下薬使用の有無にかかわらず低下した。また、血糖のみならず、体重、血清脂質、血圧も有意に低下した。この「食べる順番療法」は糖尿病予備軍においても同様の効果が認められた。
・食べる順番療法により血糖値を上げにくくすることで、インスリンの節約効果ができ膵臓に負担をかけない食べ方と言われています。インスリン分泌が少ないと太りにくいのでダイエット効果があるそうです。これが一般的によく聞かれる理由で文献からも証明されています。
2型糖尿病患者を対象に、野菜を米飯の前に摂取した日と米飯の後に摂取した日の、食後血糖値およびインスリンの変動をクロスオーバー試験により観察した。被験者は早朝空腹状態で来院し、試験食(米飯150gと野菜サラダ90g)を1口20回そしゃくし、15分かけて摂取した。その結果、野菜を先に摂取した場合は米飯を先に摂取した場合と比較して、食後の血糖値およびインスリン値の上昇が20〜30%抑制された。すわなわち、インスリンの分泌量が少なく、インスリン分泌のタイミングが遅れがちな日本人の糖尿病患者にとって、野菜を最初に炭水化物を最後に摂取する「食べる順番療法」は、食後の血糖値を上げにくく、インスリンが節約でき膵臓に負担をかけない食べ方であるといえる。また、インスリンの分泌が少ないと太りにくいのでダイエットにも効果がある。
・なぜ野菜から食べると血糖値の上昇が抑えられるかというと、野菜に含まれる食物繊維が糖質や脂質、コレステロールの消化吸収を遅らせてくれることで血糖上昇を抑制していると考えられています。野菜から摂取することで糖の消化や吸収を助ける働きを抑えてくれる作用とインスリンの分泌を促進、胃内容物の排出遅延や腸管の動きを抑制することで食後の血糖値上昇を抑制し血糖変動幅の減少をしたと考えられています。野菜から摂取することで、血糖値の上昇を抑えることで血管内の酸化ストレスや糖化を引き起こしにくく、動脈硬化の進行抑制だけでなく、老化も遅らせてくれます。
食後血糖値上昇が抑えられる要因として、野菜に含まれる食物繊維が糖質、脂質、コレステロールの消化吸収を遅らせ、食後の血糖上昇を抑制したことが考えられます。また炭水化物摂取前に野菜を摂取することによりα-グルコシダーゼ阻害薬の作用と同様に、インスリンの分泌を促すインクレチンホルモンであるGLP -1の分泌を促進したと推測。炭水化物を摂取する前に、野菜やタンパク質、脂質を摂取すると、GLP -1の分泌が増加し、インスリン作用の増強および胃内容物の排出遅延、腸管の蠕動抑制作用により、食後血糖上昇を抑制し、さらに血糖変動幅の減少に寄与したと考えられる。
急激な血糖上昇は血管内の酸化ストレス、糖化を引き起こし、動脈硬化を進行させるだけでなく、老化も進める。
糖尿病、高血圧、脂質異常症は、酸化ストレス、糖化、血液凝固系の亢進などにより、相乗的に細小血管障害および動脈硬化を促進させるが、糖尿病患者だけでなく食後高血糖が認められる糖尿病予備軍、さらには健康な人によっても「食べる順番療法」は簡単で実行しやすい食事として有効であると考える。
α-グルコシダーゼ阻害薬:糖の消化や吸収を助けるα-グルコシダーゼという酵素があり、糖尿病の人は糖の消化や吸収を抑えたいのでα-グルコシダーゼ阻害薬を服用することによって、α-グルコシダーゼの働きを阻害し、糖の吸収を穏やかにする。
インクレチンホルモン(GLP -1):食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称。
※ 野菜から食べる「食べる順番」の効果
野菜を食べる効果(1日350g)
1日あたりの目標量を350gの野菜を継続して食べることで体重減少、血圧、尿中Na/K比の低下が認められたと文献で述べられています。体重減少は、いつもより食物繊維を摂取しているため排便促進作用があるため、研究中に排便が促進され体重減少につながったと著者は考えているそうです。
血圧低下は、野菜に含まれるカリウム効果で降圧効果が得られています。これは血圧は体内のナトリウムとカリウムのバランスによってコントロールされているためです。尿中Na/K比はナトリウムとカリウムの摂取状況を表す指標のため、血圧と関連性が強く同様の結果になったと言われています。
野菜の食物繊維には、水にとける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維に大別されます。水溶性食物繊維は、ゲル化能を有し、胃から小腸への食物の移行を穏やかにするとともに血中インスリン、グルコースの上昇を抑制する働きがある。また血中コレステロールや中性脂肪上昇抑制効果も知られています。不溶性食物繊維は水分を吸収してカサが増えることで排便を促進する作用があります。野菜は不溶性食物繊維が多く含まれていることから、研究期間中は排便が促進され、その結果体重が減少につながったと考えられています。血圧低下は野菜に含まれるカリウムが血圧低下に寄与したと考えられています。高血圧ガイドラインによると2014年によると、DASH食(高血圧を防ぐ食事方法)の成分のうち、カリウムの降圧効果については、その作用が弱いため米国心臓学会の高血圧の食事方法の報告など一部のガイドラインでしか取り上げられていないが、食塩過剰摂取の血圧上昇作用に対するカリウムの拮抗作用は顕著であると述べられている。減塩を意識した野菜料理の提供や食生活での減塩指導を並行して行えば、更なる降圧効果が認められた可能性も示唆された。
尿中Na/K比は疫学研究で血圧と関連性が強いことが報告されており、血圧低下が認められていたことから同様な結果が得られたと考えられる。また、野菜摂取により、カリウムの摂取が日常の食生活よりも増えたことが影響したのではないかと考えられた。
腸内環境に関して、乳酸菌やビフィズス菌のin vivo試験による保健効果として、整腸効果、血圧降下作用、内臓脂肪の低減作用など様々な機能性が報告されている。クロストリジウム菌については、大腸の制御性T細胞を増やし、腸管の炎症を防ぐなどの報告もある。腸内フローラ(腸内にすんでいる細菌)は個人で特有の構成があり一個人の日間変動よりも個人差が大きいことが認められており被験者により割合がさまざまで個々人の食生活や生活習慣とあわせて見ていくことが望ましい。
※1日350gの野菜摂取効果 川北久美子、山内美智子、木村志織、杉尾直子
まとめ
・野菜を食べることで、食物繊維で排便が促進され、便通が良くなることで体重が減ります。また、食物繊維は満腹感を感じさせてくれ食後の血糖値上昇を抑制してくれます。そのため野菜から摂取することで、ダイエット効果も期待できると思います。
・また、食後の血糖値を抑えてくれることで、インスリン少なくなり、エネルギー源として消費されやすくなるため脂肪が増えにくくなるのでダイエット効果が期待できます。
・野菜から食べることで血糖値上昇を抑えるため、血管内の酸化ストレスや糖化を引き起こしにくく、動脈硬化の進行抑制だけでなく、老化も遅らせてくれます。
・野菜に含まれるカリウムの作用で血圧、尿中Na/K比を下げてくれます。
・腸内環境に関して、乳酸菌やビフィズス菌のin vivo試験による保健効果として、整腸効果、血圧降下作用、内臓脂肪の低減作用など様々な機能性が報告されています。また、クロストリジウム菌については、大腸の制御性T細胞を増やし、腸管の炎症を防ぐなどの報告もあるそうです。しかし、個人の食生活や生活習慣とあわせて見ていかないと被験者の腸内フローラの割合が様々なためエビデンス的に難しかったようです。
・食べる順番を野菜からすること!そして1食分で1皿(生の場合)、加熱時は片手に乗る分を摂取しましょう。できるだけ、栄養素が高い野菜を多くしたり、メインの肉や魚にも野菜をプラスするといつもより野菜を多く食べることができると思います。
食べるもので自分の体は作られています。最近野菜を食べているか?胸に手を当てて自問して見てください。野菜を食べることでダイエット効果、血圧低下、老化予防だけでなく生活習慣病予防になります!また、便通も良くなることで、肌のトラブルも減ると思います。野菜をたくさん食べて、いつまでも若々しさを保ち身も心も軽くして快適な生活を送りましょう!