みなさん、ダイエットもそうですが特にスポーツしている方は体幹を鍛えろと言われる方も多いのではないでしょうか?謎、体幹を鍛えることが大切なのか?
スポーツをしている方だけでなく、高齢者なども体幹を鍛えることで得られる動作が増えたり、安定した動作が行えることで転倒リスクを減らすことができます。もちろん、疾患や病状にもよりますが・・・。
ここでは体幹を鍛えることでどのような効果が得られるのかエビデンスを踏まえ紹介したいと思います。
体幹筋とは
最近は雑誌などにコアや体幹という言葉をよく見かけます。体幹から手や足、頭などがつながっています。これを機能的に活かすためにも中心部である体幹が重要になってきます。体幹は下記にも書いてあるとおり、前面は横隔膜、腹直筋、腹横筋、腹斜筋、後面は広背筋や脊柱起立筋広義になると胸、お尻周りなど全ての体幹の構成要素となります。
広義の骨格筋のうち、体幹に属する筋肉を総称したものである。内臓を支える機能とともに、運動時のバランスをとるために骨格筋を随意で動かす際は最初に動かす筋肉であるため、この筋肉が弱ると運動が不安定になる。体幹筋は前体幹筋(主な一例腹直筋、腹横筋、腹斜筋、大胸筋)と後体幹筋(広背筋、脊柱起立筋、僧帽筋)に分けられる。体幹筋に対して、上肢、下肢に属する筋肉を体肢筋と呼ぶ。略して体幹とも呼ばれる。BIG3ではベンチプレスで胸部、デッドリフト、スクワットで背中を鍛えることができる。
狭義では、お腹の内臓が詰まった部分を囲んでいる部分で、横隔膜、多裂筋などインナーマッスル部分や骨盤底筋群があります。インナーマッスルは姿勢維持
骨盤底筋群
骨盤底筋群と股関節周囲筋は連結しており、その中でも肛門挙筋が
足から頭にかけて筋膜連結しています(繋がっています)。臓器を支えるだけでなく、排泄(尿・便)の開閉、骨盤帯の安定化、姿勢の保持、性的活動と多岐に渡っていると述べています。
骨盤底筋群と股関節周囲筋群は浅層と真相で連結している。浅層の連結は長内転筋、大内転筋の筋膜と尿生殖隔膜の連結である。深層の連結は骨盤隔膜に存在する腸骨尾骨筋と内閉鎖筋の連結である。骨盤底筋群、股関節周囲筋は浅層と深層の両者で深く連結している。更に骨盤底筋群の中で3つの筋群の総称とされる肛門挙筋が後脛骨筋、長内転筋・大内転筋、内閉鎖筋、肛門挙筋、腸腰筋、横隔膜、頚長筋・頭長筋と、足部から頭部にかけて深層部で筋膜連結していることを示している。したがって、尿失禁やPOP等の骨盤底機能障害に対してのアプローチする際、骨盤底筋群のみに着目するのではなく、骨盤底筋群と連結するこれらの筋群にも注意する必要がある。
骨盤底筋群の役割と筋機能
骨盤底筋群の役割は臓器の支持、排尿、排便時における排出口の閉鎖と開口、骨盤帯の安定化、姿勢の保持、性的活動と多岐にわたる。このため、骨盤底筋群は姿勢保持として働く遅筋繊維の割合が高く、恥骨尾骨筋の前方部に67%、後方部に76%、また尿道周囲の肛門挙筋の95%と報告されている。
※骨盤底筋トレーニングのための基礎と実践 田舎中真由美、青木芳隆 体力科学第71巻 第3号 255ー261(2022)
体の中心部、体幹や骨盤底筋群を鍛えるとどんな効果があるのか?
体幹を鍛えることで、体の中心が安定(固定)され、手足の動き(末梢の動き)をコントロールしやすくなるため、パフォーマンス向上に繋がる!
人の中心部にある体幹が鍛えられ安定(固定性が高まり)することで、手や足などの抹消部の動きをコントロールしやすくなり、さらにお腹に力が入ることで力む動作も減るので動作も安定して行えるようになると思います。
真ん中が不安定でふにゃふにゃしてたら、先の方の動きをコントロールしづらくてブレる(不安定)し、変な部分に力が入って小さい筋肉でどうにかしようとするので怪我に繋がります。
下記の文献からも、体幹の深部筋である腹横筋や骨盤底筋群を鍛えることで立位での重心軌道のブレが減り、手足の動かしたい動作筋も発揮しやすくなり筋力増強効果が得られたと述べています。
従来の体幹部トレーニングは、慢性腰痛症等の腰部疾患に対して用いられる方法で、腹部の表層に位置する腹直筋、内・外腹斜筋のトレーニ ングが中心であり、深層に位置する腹横筋にはあまり注目されていなかった。そこで、本研究では腹部の深層に位置し、腹腔内圧を増加させ体幹の伸展モーメントに寄与する腹横筋を収縮させる体幹筋安定化トレーニングを実施した.その結果,腹横筋のトレーニングにより下肢疾患を有する高齢者の立位重心動揺総軌跡長を減少させ、大腿四頭筋筋力を増加させることを初めて明らかにした。腹横筋は努力呼気に働く筋であるが、胸腰筋膜を介して多裂筋の収縮をもたらし脊柱を安定化させることが知られている。また、腹横筋の収縮を促す運動は骨盤底筋群を同時に有効に収縮できるとされている。高齢者では体幹の伸展モー メントが低下しているため、腹横筋のトレーニングは骨盤底筋群をはじめとした体幹深層筋群の活動を促して効率的に体幹の安定性を高めると考えられる。その結果、支持基底面内での安定性が向上して,本研究で観察されたような立位重心動揺総軌跡長の改善をもたらしたと推察される。
立位姿勢を安定化させる身体の作用には、 股関節を中心とした動きによって身体の速い揺 れをコントロールする股関節制御(hip strategy) と、足関節の運動によって身体のゆっくりとした揺れをコントロールする足関節制御(ankle strategy)とがある。これら両者の相互作用により身体重心を支持基底面にとどめて身体を安定化させる。立位重心動揺測定は静的な安静立位での評価であるため、主に身体のゆっくりとしたコントロールを行なう足関節制御を反映している。本研究では立位重心動揺総軌跡長の減少が観察されたことから、腹横筋を中心とした体幹筋安定化によって足関節制御の効率が改善したと推察される。
筋力を発揮できる条件としては、動作筋の筋力があること、動作筋と反対の作用を有する拮抗筋や関節の制限因子がないこと、そして動作筋が有効に働くための中枢部を安定させる力が必要となる。特に大腿四頭筋の筋力発揮に関しては、中枢部となる骨盤部の安定化が必要である。本研究のトレーニングは骨盤を含めた体幹部の安定化を促すもので、骨盤部の安定化により大腿四頭筋の筋力増強効果が得られたものと考えられる。またHodgesとRichardsonらによると上肢や下肢の運動では、その運動開始の約110 msec先立って、 腹横筋が収縮して体幹の安定性を高めると報告されていることから、体幹部の安定は健常者ならびに患者群いずれでも、四肢運動機能に好影響をもたらすものと推測される。
※体幹筋安定化トレーニングが身体運動に及ぼす影響について 山㟢祐輔1,2),萩野 浩2) 米子医誌 J Yonago Med Ass 66,57-63,2015
腰痛の予防・改善
腰痛になる原因は多くあります。体幹の筋力低下や前面と後面の筋バランスが不均衡、生活習慣(同じ方向でカバンを持ったり、足を組んだりなど)で姿勢アライメントが崩れることなどさまざまな原因があります。
原因などで治療方法などが変わってきますが、体幹の筋力低下と足の柔軟性の低下が見られたと報告しています。体幹・骨盤底筋群を強化することで、体幹筋がコルセットみたいな役割(腹圧を高め体幹の安定化)をしてくれるので良い姿勢で保てることができ、腰痛の予防や改善効果得られると述べられています。
元々腰痛持ちで長く座ると姿勢が悪くなるためか、痛みが強くなったり坐骨神経痛が出ていましたが、腸腰筋・胸腰部ストレッチや体幹トレーニングを行ってからは痛みはほぼないです。患者さんや利用者さんにも
腰痛症の評価と治療は、臨床的には理解しやすく、治療効果が期待できる方法ではあるが研究結果からは、必ずしおその科学的根拠が証明されていない。
腰痛症患者の筋力については、多くの研究者が背筋力低下を指摘しており、背筋増強訓練を推奨しているものも多い。松岡らは、343例の立位全体脊椎側面X増線像から、加齢に伴い体幹は前傾姿勢を呈し、C7pilmb lineとS1椎体後上偶との距離は腰痛群が有意に高値であったと報告した。これは、背筋が姿勢維持に重要な役割を果たすため、腰痛だけでなく、加齢に伴う背筋力低下が前傾姿勢を引き起こすと考えられてる。その意味で背筋トレーニングは必要であるが、伸展型腰痛では十分な腹筋があっても、動作の中でその筋力が活かされてない場合が多い。この”使い方”の影響についてが今後検証していく必要がある。
腰痛と体幹筋力およびかし柔軟性との関連を調査した結果、腰痛群で有意に腸腰筋の短縮が認められ、腹筋持久力、背筋持久力、背筋瞬発力に有意な低下がみられたと報告した。このように腰痛患者を対象とした研究では、腰痛と下肢柔軟性の関連を指摘する文献も多い。
※腰痛発生機序からみた運動療法の選択 加賀谷善教、大畑健太郎
急性および亜急性腰痛では効果なしあるいは不明で、慢性腰痛に対する運動療法の有効性
は強く推奨することに中等度のエビデンスが示された。運動療法の中では、体幹深部筋の活性化やグローバル筋との協調性改善を主眼としたモーターコントロールエクササイズの効果について研究した 29 編の論文を検証した Cochrane レビューにおいて、体幹周囲筋の再教育に関する様々な理論があるが、どの手法においても一定の腰痛軽減効果が得られた。※腰部・体幹障害予防とアスレティックトレーニング 佐藤 正裕1
姿勢の改善
座っている時に足を組んだり、毎回同じ方向にカバンをかけるなどの生活習慣の脊柱アライメントの異常や体幹筋の筋力低下は姿勢不良に直結すると言われています。この姿勢不良が続くと腰痛の原因にもなります。全身は繋がっているので、姿勢が悪くなることで、他の部位にも影響が出てきます。インナーマッスルを鍛え、できるだけ姿勢を整えるように心がけることで姿勢改善ができ腰痛予防や改善にも繋がります。
例えば、捻挫した時など足を庇って歩き方は変わると、良い歩き方から悪い歩き方になると思います。悪い歩き方が長く続くと、他の場所に力が入るので力が入っている場所や負担がかかる場所に痛みなどが生じると思います。姿勢も同じで悪い姿勢が続くと他の場所に負担がかかり、猫背などになり腰痛の原因に繋がり悪循環になります。
インナーマッスルを鍛え、姿勢を正すことで悪循環を阻止し腰痛予防・改善にも繋がると思います!
建内(2015)らは、座位姿勢の違いによる体幹筋活動の変化について、O’SullivanらやClausらの研究から「前かがみ座位では筋活動量が低く、胸椎直立座位では脊柱起立筋群の活動が増加し、腰椎骨盤直立座位では腰部多裂筋や内腹斜筋の活動が高まりやすい」としている。「前かがみ座位」が猫背、「胸椎直立座位」が背筋を伸ばした状態、「腰椎骨盤直立坐位」が腰を立てる状態である。竹井(2015)は、脊柱起立筋を体幹部の浅部(グローバル)筋、多裂筋を深部(コア)筋として分類している。背筋を伸ばすと浅部(グローバル)筋である脊柱起立筋が多く働くため、その姿勢をし続けることは難しい。腰を立てた状態では、腰部多裂筋など深部(コア)筋が働く。深部(コア)筋の働きで姿勢が安定すると、疲れにくく、浅部(グローバル)筋は緩んでいることができると考えられた。体幹があまり働かない前かがみ姿勢から、日常的に腰を立てた坐位しせいをとるようにすることで、体幹筋を働かせた安定した姿勢がとれるのである。
※姿勢の整え方ー「背すじをのばす」ではなく「腰を立てる」ー和久田佳代
脊柱における筋の特徴については、Bergmarkが脊柱の動的安定性に関与する筋を、その機械的な役割から、ローカルシステムとグローバルシステムに分類している。ローカルシステムには、体幹深層で脊柱に起始停止をもつ筋が属しており、腰椎の弯曲や椎体間の機械的安定性などの局所の調節に関与している。そして浅層に位置するグローバルシステムには、侠客と骨盤に気指定しを持つ大きな筋が属しており、脊柱全体の運動を調節しながら、体幹に加わる外的負荷と均衡を保っている。したがって、この2つのシステムっが挿画に作用することで理想的な脊柱の分節的運動を生み出している。
身体の中心に位置する体幹は、臓器の保護や運動の土台としての重要な役割を有している。近年の理学療法分野では、この重要な機能を有した体幹、特に体幹筋に着目したアプローチが行われている。高齢者においても、体幹筋を鍛えることは、日常生活の活動性を向上させるためのアプローチであるが、加齢によって生じた過度な胸椎後弯(以下、円背)などの脊柱変形に対する予防にもつながるものと考えられ重要視すべきである。また、昨今では高齢者の虚弱性の原因である加齢に伴う骨格筋の筋肉量減少および筋力低下すなわちサルコペニアという病態が注目されている。したがって、これらを踏まえて高齢者の体幹筋力を高めることは極めて異議深いものと考えらる。そこで、体幹筋の筋力低下が原因の1つとされている円背を中心に予防的視点で解説する。
脊柱は、身体の中でも特に姿勢を形成する上で中心的な役割を担っており、体幹筋の筋力低下や脊柱アライメントの異常は姿勢不良に直結する。肩関節を体幹と連結する肩甲胸郭関節の機能は、肩甲骨下にある胸郭の形態を受けやすいため、脊柱アライメントの理学療法評価(以下、評価)も肩の治療を行う上で重要である。また、体幹に限らず肩を評価する上で足部から方への運動連鎖を考慮する必要がある。人間にとって地面に接する部位は足だけであり、足部の携帯や地面の状態によって身体の近位関節は大きな影響を受ける。足部への荷重が内側に偏る、すなわち足部が回内することにより距骨の内転・底屈、下腿の内旋、大腿の外旋、同側の骨盤下制・前方回旋および前傾が起こりやすい。しかし、過度に足部の回内した場合には、足部の強固なテコとしての機能を失わせるため、同側の骨盤は挙上・前方回旋し、肩甲骨は下制・前方回旋する。また、足底への荷重が外側に偏る、すなわち足部が回外すると距骨、下腿、大腿、骨盤、肩甲骨は足部の回内時とは逆の動きとなる。このように肩の機能は足部にはじまり全身の影響を受けやすい。そのため、肩の評価をする際に肩甲上腕関節の評価だけでなく全身のヒョオウかも必要となるが、やみくもに肩と姿勢の評価を行ってもそのつながりを理解することは難しい。肩甲上腕関節と隣接する関節の慎重に関連付けて、全身へと視野を広げていく必要がある。
※体幹と理学療法 藤本鎮也 吉田一也 佐藤慎太郎 秋山純和 理学療法ー臨床・研究・教育 20:7-14,2013
ダイエット効果
体幹を鍛えることで、体重的に影響あるのか?と言われるとなんとも言い難いですが
体幹や骨盤底筋群を鍛えることで
・身体全体のラインが綺麗になる:腹部が鍛えられることで、ぽっこりお腹解消できます。さらに鍛えるとお腹が出てくることが減ると思います。また、体幹の中心部が安定することで、姿勢もよくなり見た目の身体ラインが綺麗になると思います。
・基礎代謝が増える;体幹筋は背面は大きな筋肉に覆われ、前面も大胸筋が大きい筋肉になるので基礎代謝が増えるので燃焼しやすい身体作りができると思います。
・便通改善:腹部インナーマッスルを鍛えることで、内臓が刺激され便通がよくなると思います。
まとめ
体幹は身体の中心部に位置します。この中心部を鍛えることで、安定性を高められます。
・中心部が安定することで、手足や頭など抹消部分が自由に動かしやすくなることでパフォーマンス向上に繋がります。中心部の安定性が高まることで、変なところに力を入れることが減り、手足の動きも自由度が増すため怪我予防にも繋がってくると思います。
・体幹の安定性が上がることで姿勢改善が図れます。姿勢改善・良い姿勢を保つことができることで腰痛改善・腰痛予防にも繋がります。姿勢改善することで、身体全体のラインも綺麗に見えますね!
・体幹を鍛えることで大きい筋肉もあるため基礎代謝が増え、痩せやすい身体になると思います。
・インナーマッスルを鍛えることで、内臓が刺激され便通改善されます。
運動する方はもちろん、歳をとるとともに筋力は低下し猫背などの姿勢不良にも繋がるのでいつまでも若々しく見られるためにも体幹や骨盤底筋群のトレーニングをして綺麗なラインを手に入れましょう!