股関節を曲げたら詰まった感じがしたり、運動中に詰まりや違和感を感じることがある方もいらっしゃると思います。
私も右股関節が整骨院で曲げられても、自分で深く曲げても詰まる感じがしてなんだか嫌な感じがします。s
ここでは股関節の詰まりの原因と対策を紹介したいと思います。
股関節の詰まりの原因
股関節は、可動性・安定性が高く、歩く・立つ・座るなどの日常生活場面で体重を支える面で重要な役割を果たしています。
股関節のつまりの原因は様々あります。
・元々の骨の構造上の問題
・股関節筋力の柔軟性低下や筋力低下
元々の骨の構造上の問題は運動やストレッチなどでは根本的な改善は難しく病院受診をしなて手術などをしないと難しいです。しかし手術段階でなければ股関節の負担軽減や痛みの軽減、安定した関節運動の獲得に関してはある程度可能であると考えられています。
筋力の柔軟性低下や筋力低下は私生活や姿勢の癖などで起こっていることが多いです。
詰まりの原因になりやすい筋肉は、大臀筋、中臀筋、小臀筋、深層外旋六筋、腸腰筋という筋肉です。これらが固くなったり、アンバランスな使い方をしていると動きが制限され詰まった感覚になります。
長時間同じ姿勢で過ごしていると、血行が悪くなり凝り固まってしまします。また、運動不足や筋力低下も股関節の筋肉が硬くなったり、筋肉の使い方がアンバランスになる原因になり得ます。
筋肉の役割 ー文献よりー
深層外旋六筋とは
梨状筋、大腿方形筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋で構成しています。これらの筋肉は仙骨・恥骨・坐骨から起始し、大腿骨骨頭の後方を走行して転子窩付近に停止するため、股関節外旋作用に有するとともに大腿骨の骨頭を臼蓋に求心位に保持する作用を有します(※1)。そのため、弱くなったり硬くなったりすると大腿骨頭を臼蓋に保持できずに不安定になり中心が合わずにつまる原因になりえます。
基礎医学シリーズ解剖学編ー深層外旋6筋ーより
腸腰筋
腸腰筋は、股関節を曲げる、骨盤を前傾する機能があります。下の解剖図を見てもらってもわかるように腸腰筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉です。腰椎から始まる大腰筋と、骨盤上部から始まる腸骨筋からなり、いずれも太ももの骨の内側につながります。この筋肉は良い姿勢を保つため、自分の脚で立ち、脚を持ち上げあてしっかりと歩くための役割を持ちます。また、大腿骨の骨頭を寛骨臼へ引きつける役割を担う言わば股関節屈筋のinner muscleと言われています(※1)。この筋肉が弱くなったり、硬くなったりすると骨頭を寛骨臼へ引きつけれずに曲げる際に違和感を感じる可能性があります。さらに悪い姿勢、骨盤が前傾することで下腹部が突き出た形になりぽっこりお腹、腰痛の原因にもなります。
外旋筋群短縮により股関節の求心位が失われることで、代償筋の過活動や腸腰筋の機能不全が起こり、それが股関節屈曲時のつまり感として現れている可能性があると言われています(※2)。
正しく理想的な姿勢をとり戻す 姿勢の教科書 竹井仁 著
正しく理想的な姿勢をとり戻す 姿勢の教科書 竹井仁 著
(※1)
深層外旋六筋は仙骨・恥骨・坐骨から起始し、大腿骨骨頭の後方を走行して転子窩付近に停止するため、股関節外旋作用に有するとともに大腿骨の骨頭を臼蓋に求心位に保持する作用を有する。これらの筋が短縮すると股関節の内旋制限を来たすことに加えて、股関節の屈曲運動にも影響を及ぼすことがある。
純粋な股関節屈曲が行えるように内旋の滑りの運動を改善させるためには、股関節外旋に作用を有する筋でも最も深層に位置する外旋六筋の柔軟性も詳細に評価する必要がある。(伏臥位にて外旋6筋を母子で圧迫し、股関節を内旋しつつ筋の緊張を評価。筋緊張の亢進や短縮が見られた場合は外旋6筋を圧迫しつつ股関節内外旋を繰り返して伸張していく)
そして、股関節の内旋可動域が獲得された後にも股関節屈筋のouter muscleyと考えられる縫工筋や大腿筋膜張筋の過活動を抑制しながら単関節筋である腸腰筋の活動を大腿骨への近位部抵抗運動によって促すべきである。腸腰筋は大腿骨の骨頭を寛骨臼へ引きつける役割を担う言わば股関節屈筋のinner muscleと考えられるからである。以上にように股関節屈筋に必要な深層外旋6筋の柔軟性を評価し、アプローチすることは股関節屈曲の可動域が不十分なことに起因して生じる腰背部痛へのアプローチにもつながる。
下肢のバイオメカニクスー筋の機能解剖と関節運動ー 谷埜予士次 臨床における理論的背景 関西理学 5:37−40,2005
矢状面における骨盤傾斜角度の変化と股関節外転筋力について着目した山田らは、外転トルクに関しては中臀筋に寄与する割合が大きく、その走行から股関節屈曲・伸展位が最も効率よく発揮できると報告している。また松木らも股関節屈曲・伸展中間位において最も大きい筋力が出され、股関節屈曲角度が増加するにつれて外転運動時に活動する中臀筋、大腿筋膜張筋の筋長が短縮するため筋力も低下すると報告している。以上のことから、股関節外転は前額面における骨盤傾斜角度では中間位、あるいは股関節屈曲・伸展中間位において最大の筋力を発揮できると言える。
前額面における骨盤の傾斜角度が股関節外転筋力に及ぼす影響 西美咲、菊池礼乃、神谷晃央 理学療法学科26(4)475-478、2011
(※2)
外旋筋群短縮により股関節の求心位が失われることで、代償筋の過活動や腸腰筋の機能不全が起こり、それが股関節屈曲時のつまり感として現れている可能性が考えられる。また、大腿部肉離れや足関節捻挫の件数も多い結果となった。
股関節のつまり感は、股関節になんらかの機能不全があることを示しており、下肢の土台とされる股関節が機能不全となることで、膝関節や足関節の連動性に問題を生じ、障害につながると考えられる。
サッカー選手における股関節のつまり感とその障害への影響 和田拓也
つまりの対策
原因となり得る筋肉のセルフストレッチ
深層外旋六筋
つま先が外に開いている人はこの筋肉が短縮している可能性があります。
①仰向けで両足を伸ばした状態で寝ます。
②右膝を立てて45度外側に足を開きます。
③息を吐きながら立てている右膝を内側に倒せる範囲で倒していきます。お尻が浮かないところまででOKです。20〜30秒キープ 反対も同様に行います。
腸腰筋のストレッチ
①立てた足は、膝が外側に逃げないように親指付近で抑える(親指で踏む感じ)。反対の伸ばした足はつま先が内側に向くようにする。頭の位置はまっすぐにした状態で。
②息を吐きながら伸ばした足の方の骨盤を前に押すようにして前を伸ばしていきます。
※痛気持ちいくらいで30〜60秒グーっとゆっくり伸ばしていきます。
大臀筋ストレッチ
基本姿勢
①仰向けで寝て膝を立てます。
②右膝を外に開き、右手で膝、左手で踵を持って自分の体の方に引き寄せます。
③右の太ももをまっすぐに胸に引き寄せて30秒キープ。反対も同じようにします。
内側をストレッチしたいとき
基本姿勢から右太ももを外側に向けて胸に引き寄せ30秒キープ
外側をストレッチしたいとき
基本姿勢から、右太ももを内側に向けて胸に引き寄せ30秒キープ
悪い姿勢や癖を知り直す
悪い姿勢や動きやすい動き、姿勢の癖は日頃から生活の中でやっているためなかなか気づきにくいと思います。しかし、自分の姿勢を知り、良い姿勢を心がけ意識するだけでも変わってくると思います。以前姿勢の話をしたのでその記事をチェックしてみください。
まとめ
ふと股関節を深く曲げたり、運動中に股関節につまる感じ、違和感を感じたことがある方は多いのではないでしょうか?
普段運転やデスクワーク、勉強などで座る時間が長い方や同じ姿勢で作業する方などは、股関節の筋肉が固まったり、アンバランスな筋肉の使い方をしていると股関節を支持し骨盤と骨頭をバランスよく支持できなくなることで股関節につまり感を違和感を感じます。
これが長く続くと、姿勢が悪くなったり腰痛や股関節痛の原因になります。そうなる前に対策や改善が必要です。
まずは、硬くなった筋肉をストレッチして血行を良くしてあげましょう!
ストレッチするだけでも楽になると思います。
そして日頃の自分の悪い姿勢や癖を知り、出来るだけ理想の姿勢を保てるようにしましょう!また、長時間同じ作業を行う場合は、1時間ほどで少しストレッチをしたりゴミ捨てに動いてみたりすると良いと言われています。是非、股関節のつまり感を解消して、快適な日常生活を行えるように実践してみてください。
※痛みが強い方やストレッチなどやっているけど改善rが見られない方は骨の構造的な問題かもしれないため病院受診をオススメします。またセルフケアでの効果はやり方が間違っていたりストレッチが不十分である場合成果が出ない場合があります。不安な方や運動に対して苦手な方は、整骨院や病院に行きセルフケア方法の指導を学ぶ方が効率が良いと思います。