肩甲骨と上腕骨を繋ぎ、肩を安定させる役割をしているローテーターカフ。
肩のインナーマッスルとも呼ばれローテーターカフ(回旋筋腱板)は鍛えることで、怪我予防、肩関節を強くし安定性を高めます。
ローテーターカフ(回旋腱板筋群)とは
肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの心筋を総称して、回旋腱板筋群と呼びます。これらの筋群の腱は肩関節方を3面から包み、補強しています。上腕骨を動かす作用のほかに、活動的靭帯として関節の可動性に重要な役割を果たします。
結果より、肩関節屈曲・外典では、棘上筋や棘下筋の機能低下に伴い肩甲上腕関節の安定性が低下することが示された。さらに棘下筋んお機能低下は日常生活動作にも影響を及ぼすことが確認された。また、棘下筋損傷モデルでは、いずれの動作におても非損傷モデルよりも小円筋の緊張力が大きく、肩甲上腕関節の安定性の大小的な戦略に寄与することが示された。
日常生活動作時のローテーターカフの筋機能と肩甲上腕関節の安定性の代償戦略 中島将武、川田将之、竹下康文、福田将史、木山良二
ローテーターカフ 筋肉
ローテーターカフ(回旋腱板筋群)は、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つからなります。棘上筋は上腕骨の上方への脱臼やずれを防いでくれます。棘下筋・小遠近は上腕骨の前方への脱臼を防ぎます。肩関節を構成する骨と受動的な作用をする付属組織(腱、関節包)は、安定性を維持する機構としては弱いです。安定性の維持に関して中心的役割を果たしているのはこれら4つの関節周辺筋である。安定性維持の作用が妨げられる場合もある。だからこそ、方の関節痛が起きやすい部位なのである。
棘上筋
棘上筋は棘上窩よりおこり、その腱部分は烏口肩峰アーチの下を通って上腕骨頭の彎曲部分を通過した後、上腕骨大腿結節に付着する。
作用は、回旋作用(外旋)と安定化作用(関節窩に対する上腕骨頭の引きつけ)の2つ。棘上筋の働きでは、安定化作用がより重要。理由は、①関節包の弛緩性 ②関節表面の適合性の悪さ ③関節窩の垂直性に、上腕骨頭を関節窩に対して引きつけ、維持させるためには、特別な力学的機構が必要であり、上腕骨頭を脱臼させることなく、上腕骨全体を運動させるためにも必要だからです。
すべての運動の開始時においては、棘上筋が緊張することで上腕骨頭を関節窩に引きつけ、維持し、運動の中心部を固定させる。また、この棘上筋は腕安静下垂時での唯一の懸垂作用筋でもあり、この事実は腕安静下垂位およびバッグを持った時の筋電図により照明されている。
棘上筋は疲れやすい。正確に棘上筋を作動させ続けるには、他の腱板の筋肉、特に棘下筋、肩甲下筋の補助的作用が必要となり、周囲の解剖学的構成の統制が要求される。
棘下筋
棘下筋は棘下窩に起始する。棘下腱は肩甲上腕関節の関節包上部を通過し、棘上筋が付着する上腕骨大結節の後下方に停止する。動きは上腕の外旋。外転にも関与している。
小円筋
小円筋は、肩甲骨の外側縁(後面)に起始して、棘下筋が付着する大結節の下部に停止する。動きは上腕の外旋。
肩甲下筋
肩甲下筋は肩甲骨前面に起始して、上腕骨の小結節に停止する。肩甲下筋の筋繊維は肩甲骨の外側角に収束する。動きは上腕内旋を行う主要な筋肉。
ローテーターカフ(回旋腱板筋群)トレーニング方法
ローテーターカフは肩のインナーマッスルと言われており、肩の深部を鍛えることで怪我予防や肩関節を強くし、肩関節の安定性が上がるため肩を使う仕事やスポーツをしている人は疲れにくいやパフォーマンスを上げる効果が期待できます。ローテーカフは疲れやすく、小さい筋肉のため大きな負荷でトレーニングをすると表面の筋肉が働いてしまったり疲れて怪我をしてしまうリスクがあるため低負荷で行いましょう!
うちわトレーニング
うちわを持ち、“前へならえ“の姿勢になります。前へならへの姿勢から左右へうちわを動かしていきます。※注意点;動かす時はなるべく肘は体につけた状態で行いましょう。手首で左右へ動かすのではなく肘を支点に左右へ動かしていきます。
1〜3分×3セット、痛みの出ない範囲で行いましょう。
うちわの空気抵抗でもきつい場合は、うちわを持たずに行ってもOKです。
チューブを使ってのトレーニング
棘上筋
①開始姿勢:しっかりゴムを張った状態で、筋トレしたい側と逆の足でゴムを踏みます。
②30度ほど前方で30度外に上げていきます。※あまり上げすぎたり負荷が強いとアウターマッスル(三角筋)が働き、インナーナッスルである棘上筋が働かないため注意しましょう。
③30回×2〜3セット 1回1秒以上かけてゆっくり行ってください。
棘上筋の筋肉説明部分でもお伝えした場所肩の上部分が熱くなっているのを感じれたらOKです。痛みがある場合はやめましょう!
棘下筋
①開始姿勢:前へならえの姿勢からスタートです。ゴムは内側から張るようにドアノブなどにかけて行いましょう。(かける部分がなかったため、両手でゴムをはってしました。)
②肘が体から離れないようにして、肘を支点に掌を外へ開いていきます。※負荷が強いとアウターマッスルが働くきます。低負荷で行いましょう。ゴムバンドは黄色が一番弱いので黄色で行いましょう!また肘が開いてしまう動作もアウターマッスルが働くので肘が開かないように閉じた状態で行いましょう!
③30回×2〜3セット 1回1秒以上かけてゆっくり行ってください。
肩甲骨の下部分が熱くなっているのを感じれたらOKです。痛みがある場合はやめましょう!
肩甲下筋
①開始姿勢は棘下筋同様前へならえの姿勢からスタートです。ゴムは鍛えたい方の外側から張るようにドアノブなどに引っ掛けましょう。
②肘を支点に内側へ動かしていきます。
③30回×2〜3セット 1回1秒以上かけてゆっくり行ってください。
痛みがある時はやめましょう!
まとめ
ローテーターカフ(回旋腱板筋群)は肩のインナーマッスル(深層筋)と言われています。肩を引きつけ安定させる役割があるので、ローテーターカフをしっかり働かせて上げることで怪我の予防や肩の安定化を図ることができます。
表層筋であるアウターマッスルが先に働いてしまうと、肩を安定させれてないまま動かすことになるので怪我をしやすく、負担がかかり痛めやすくなってしまいます。そうならないためにもしっかりローテーターカフを働かせ安定性を高めた状態で動かすようにしましょう!
引用文献:新動きの解剖学 ブランディーヌ・カレ・ジェルマン著 科学新聞社出版局/翻訳
カパンディ 関節の生理学 上肢 原著第6版 AIKAPANDJI 著 塩田悦仁 訳
図解関節・運動器の機能解剖上肢・脊柱編 J .CASTAING J .J .SANTINI 共著 井原秀俊、中山彰一、井原和彦 共訳