誰しも歳をとり、誰かのお世話になる時、お世話する時がやってくると思います。介護は突然やってきます。現在高齢化の進行に伴い、介護が必要な方々が増えています。私は15年リハビリ職として多くの方やそのご家族の方に携わってきました。介護される側もする側も知っておくことで準備の参考になると思います。
介護が必要になる前に話し合おう!
15年リハビリ職としてたくさんの方に携わってきました。1番問題になることは、家族と本人の意向の不一致です。例えば本人は帰りたいのに家族は家で見るのは無理。そのことを本人には話してないのでそこから問題になっているケースが多いです。面会時に家族に怒鳴っていたり・・・。関係性などにもよりますが、介護に携わりそうな家族や親戚でしっかり話し合っておくべきだと私は思います。
●介護の方針を決める!
介護する側も介護される側もどこまでなら家で介護できるのか?介護してもらう側もどこまでの介護を望むのか?介護の責任者を誰にするのか?独居が厳しいのであればどこの家族に面倒を見てもらうのか?施設なのか?介護サービスはどこまでなら介護される側はOKなのか?家族が遠方であれば、帰省できるのか?出来ないのであれば、近い方が見れるのか?パートナーの理解があるのか?など具体的な内容をしっかり話しておくことでトラブル回避や退院後の流れもスムーズにいくと思います。
⚫️お金のこと
金銭面的な負担をどうするのか?資産管理は?施設に入るなら家はどうする?保険は入っているのか?介護される側の貯蓄は?なども細かく具体的に話し合っておくと良いでしょう。
⚫️介護者の今現状での状態を把握しておく
現状の状態を介護する側にも把握してもらう。内服は?定期的な受診は?どこまでなら関わっていけれるのか?老老介護にならないか?延命はするのか、しないのか?介護する側の体調面なども踏まえて話しておくといざという時に(急変時、施設への移行時、病院入院時)スムーズに
人の気持ちや考えは変わます。定期的にお互いの意向や想いは話し合っておきましょう!
介護保険制度について
介護保険制度は、介護が必要となった高齢者とその家族を社会全体で支えていく仕組みです。
かつては、子供や家族が行うものとされていた親の介護ですが、高齢化が進むにつれ、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社会も問題になりました。こうした中、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えよることを目的に2000年から設立されたのが介護保険制度です。老後の不安の原因である介護を社会全体で支えています。
✴︎介護保険の利用者の自立支援を目指すこと
✳︎利用者本位のサービス利用(自ら選択してサービスを受けられる)事ができる
✳︎給付と負担の関係が目確である「社会保険方式」を採用していること
介護保険制度に携わる人たちを、以下のうように言います。
保険者:制度を直接運営している市町村及び特別区
被保険者:介護保険料を支払っている人(現行制度は40歳以上負担義務)
サービス提供事業者:介護サービスを提供する人
※被保険者は65歳以上になると介護サービスを利用できます。
厚生労働省ホームページより
公的な介護保険
公的な介護保険は介護や支援が必要な方(要介護者・要支援者)に、介護や介護予防でかかる費用の一部を給付する制度です。
介護保険の納付方法は対象者によって異なります。
会社員・公務員:給料から天引き
自営業者;国民健康保険料と合わせて介護保険料を納付
被扶養配偶者(主婦など):原則、介護保険料の納付義務はありません。(※配偶者が39歳以下または65歳以上だと「特定被保険者」という位置付けで納付義務が発生するケースもあります。)
介護保険の被保険者(対象者)
保険の被保険者は、65歳以上に方(第一号被保険者)と、40〜64歳までの医療保険加入者(第二被保険者)に分かれます。
第一被保険者は原因を問わず介護認定(要介護状態:(認知症や病気などで介護が必要な状態)、要支援認定(要支援状態:(日常生活で支援が必要な状態)を受けたときに介護サービスを受けることができます。
第二被保険者は、加齢に伴う疾病(特定疾病※1)が原因で要介護または要支援認定を受けた時に介護保険サービスを受ける事ができます。
区分 | 年齢 | サービス利用条件 |
第一被保険者 | 65歳以上 | 要支援・要介護認定を受けていること |
第二被保険者 | 40歳〜64歳 | 「16種類の特定疾患」に該当し、要支援・要介護認定を受けている事 |
特定疾病の範囲
特定疾病については、その範囲を明確にするとともに、介護保険制度における要介護認定の際の運用を容易にする観点から、個別疾病名を列記している。(介護保険法施行令第二条)
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※
- 関節リウマチ※
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※
【パーキンソン病関連疾患】- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症※
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
(※印は平成18年4月に追加、見直しがなされたもの)
厚生労働省HPより
みなし2号とは
40〜64歳の生活保護受給者は介護保険料を納付できないため、介護保険に加入できません。しかし、介護サービスの利用は可能です。制度上、みなし2号という位置付けで第二被保険者とみなして要介護認定の審査が実施されます。
介護サービスの利用までの流れ
ご自身やご家族等に介護が必要な状態になった場合に、介護サービスを利用するには、要介護(要支援)の認定を受ける必要があります。具体的な手続きの流れは以下のようになります。
①申請する
介護サービスの利用を希望する方は、市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」の申請をします。また、申請の際、第1号被保険者は「介護保険の被保険者証」、第二号被保険者は、「医療保険の被保険者証」が必要です。
病気なので倒れて病院に搬送された場合は、大きな病院には医療ソーシャルワーカー(MSW)さんがいるので相談するといいと思います。または、地域包括支援センターに相談するのも良いかと思います。
②要介護認定の調査、判定などが行われる
⬛︎ 認定調査・主治医の意見書
市区町村の職員などの認定調査員がご自宅を訪問し、心身の状態について本人やご家族からの聞き取りなどの調査を行います。調査の内容は全国共通です。また、市区町村から直接、主治医(かかりつけ医)に医学的見地から、心身の状況について意見書を作成してもらいます(市区町村から直接依頼)。
◼️ 審査・判定
認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、保険・福祉・医学の学識経験者による「介護認定調査会」で審査し、どのくらいの介護が必要か判定します。また、第二号被保険者は、要介護(要支援)状態に該当し、その状態が「特定疾病」によって生じた場合認定されます。
③認定結果が通知されます。
原則、申請から30日以内に、市区町村から認定結果が通知されます。
④ケアプランを作成します。
要介護1〜5と認定された方は、在宅か介護サービスを利用する場合、居宅介護支援事業所と契約し、その事業所のケアマネージャーに依頼して、利用するサービスを決め、介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。施設入所を希望する場合は、希望する施設に直接申し込みます。要支援1〜2と認定された方は、地域包括支援センターで担当職員が介護予防サービス計画(介護予防ケアプラン)を作成します。
ケアプランが決まると、利用するサービスの方たちが集まり会議をします(家族・本人含め利用する事業所が集まります)。その際に契約や料金説明などサービスを利用する事業所が行います。
⑤サービスを利用します。
サービス事業者に介護保険の証明書を提示して(サービス利用事業者から提出して欲しい項目を言われるので)、ケアプランに基づいたサービスや施設サービスを利用する流れとなります。
介護保険サービスの種類
介護保険で受けられるサービスには、在宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスの大きく3つに分類されます。
公益財団法人 生命保険文化センター リスクに備えるための生活設計
親の介護を全て引き受けなくても、上記のサービスを上手く活用することで本人・家族ともにお互いに負担になることは減ると思います。
居宅介護サービス
自宅に住みながら介護を受けれる事ができるサービスです。
居宅サービスにはさまざまな種類があり、”訪問サービス” ”通所サービス” ”短期入所サービス”などがあります。
種類 | 内容 |
訪問介護 | ホームヘルパーや介護福祉士によって、以下のうようなサービスが提供されます。 ※身体介護(入浴、食事、排泄など) ※生活援助(掃除、選択、調理、買い物など) ※通院のための乗降介助 |
訪問入浴介護 | 浴槽を積んだ入浴車で自宅を訪問し入浴の介護を行う。 |
訪問看護 | 主治医の指示に基づきサービスを提供。看護師などが病状安定期の利用者宅を訪問し、療養上の世話や診療補助を行う。※訪問看護の中でリハビリ職が訪問リハビリを行うサービスもある。 |
訪問リハビリ | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅に訪問し、必要なリハビリを行う。 |
居宅療養管理指導 | 医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士が自宅を訪問し、療養上の管理の指導を行う。 |
上記の他に、「通院等の乗降介助」サービスとして、介護タクシー(介護保険タクシー)と呼ばれるサービスがあります。
介護保険の要介護認定「要介護1」以上の認定を受け、ひとりで公共交通機関を利用できない方のみが利用できます。
利用目的には、通院や本人が現場に行く必要がある買い物(補聴器・メガネなど)、役所への届けなどありますが、プライベートでの目的では、介護保険適用での介護タクシーの利用はできません。
通所サービス
日帰りで施設等を利用するサービスです。
種類 | 内容 |
通所介護(デイサービス) | 施設などに通い、サービスを受ける。 ・日常生活上の支援(食事・入浴など) ・機能訓練 ・レクレーション |
通所リハビリ(デイケア) | 病状安定の利用者が医療機関や介護老人保健施設に通い、サービスを受ける。 ・日常生活上の支援(食事・入浴など) ・リハビリテーション |
短期入所サービス
施設などに短期間宿泊し、食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持・向上するための機能訓練などを行うサービスです。家族の負担の軽減を図ることができます。
短期入所サービスには種類が二つあり、短期入所生活介護と短期入所療養介護があります。別名ショートステイとも言います。介護老人福祉施設・介護老人保健施設・病院・診療所に、短期入所するサービスがあります。普段自宅で生活する高齢者が機関を決めて利用します。また、家族の介護負担軽減する目的で利用可能です。
福祉用具の購入・レンタルサービス
福祉用具貸与:自宅で生活をする中で、日常生活の自立を助けるための福祉用具を貸与(手すりや車椅子、歩行器、段差をなくすスロープなど)。
特定福祉用具販売;お風呂やトイレなどに使用する福祉用具を借りる事ができないので購入となります。購入費は7〜9割が支給されます。※購入日は1年につき最大10万円。
入院や入所中(病院・老健など)で自宅を目指してリハビリしている方は必ず自宅訪問(家屋調査)をすると思います。そこで家の中の評価をし、できない部分はリハビリを継続します。それでも能力的に厳しそうな場合や隊員が近い場合は再度自宅訪問をし退院や退所前までにケアマネジャー・福祉用具と連携をとり必要な福祉用具選定や介護サービスの検討を行っていきます。また、方法ややり方なども本人だけではなく同居している家族へも伝えてくれると思います。
地域密着型サービス
介護が必要になった状態でも、できる限り住み慣れた地域で生活を続けていけるように支援するサービスです。そのため、原則住んでいる市町村のサービスしか受けることができません。
定期的な巡回や随時通報への対応など、利用者の心身状態に応じて24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供するサービスです。訪問介護員だけでなく看護師なども連携しているため、介護と看護の一体的なサービス提供を受けることもできます。
⬛︎ 定期巡回・随時対応型介護看護
定期的な巡回または利用者からの連絡により、利用者の自宅を訪問し、介護や看護、生活を送るうえで必要なサービスを提供してくれます。
⬛︎ 夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様のサービスを夜間帯にも提供するサービスです。
⬛︎ 地域密着型通所介護
デイサービスなどで提供されます。生活を送るうえで必要なサービス、機能訓練などを行います。
⬛︎ 療養通所介護
常時看護師による見守りが必要な重度の要介護者やがん末期患者対象となります。
⬛︎ 認知症対応型共同生活介護
グループホームとも呼ばれ、認知症の利用者に専門的なケアを提供する入所型のサービスです。
⬛︎ 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
定員29人以下の地域密着型老人保健福祉施設(特別養護老人ホーム)の利用者が対象です。地域密着型施設サービス計画に基づいて介護、機能訓練、療養上のサービス
⬛︎ 看護小規模多機能型居宅介護
通い・宿泊・訪問介護・訪問看護などのサービスを、一つの事業所で利用できるサービスです。
居宅介護支援
居宅サービスや地域密着型サービスなどを利用者が適切に利用できるように、利用者本人や家族の希望を踏まえたうえで介護サービスの利用計画(ケアプラン)を作成するサービスです。
計画に基づいてサービスが実施されるように各種介護サービス提供事業者との連絡・調整役を果たし、利用者が介護保険施設への入所を希望する際には必要な便宜も図ります。
居宅介護支援を行う専門職をケアマネージャー(介護支援専門員)と言います。
施設介護サービス
介護保険サービスのうち、施設サービスは介護保険施設へ入居することを言います。
介護保険施設と呼ばれるのは3つ。
・特別養護老人ホーム(特養)
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院(介護療養型医療施設は2017年に廃止になり2018年より介護医療院が創立)
特別養護老人ホームは、公的機関が運営していることから費用が安く人気があるため、待機者数が多いなどといった課題があります。
介護予防サービス(予防給付)
要支援1あるいは要支援2と認定された方が活用できる、生活しえんやリハビリなどを通して、心身機能の維持・改善を図ることを目的としたサービスです。
要支援の場合は自立を目指すため訪問看護や訪問リハビリが受けれますが、地域により通所に移行するよう言わるかも・・・
まとめ
介護する側もされる側もしっかりと話し合い方向性を決めておっくことが大切です。
そうすることでチームみんながその方向性に沿って支援してくれると思います。今のご時世施設や介護サービスの種類がたくさんあり、活用することで介護負担軽減だけでなく介護する側もされる側も安心・安全に生活が送れるのではないでしょうか。
悩んだら一人で抱え込まず、相談できる人や相談窓口に問い合わせてみてください。
介護の相談窓口
お問い合わせ先
・市町村の介護保険担当課:介護に関する全般的な相談や介護保険を利用する場合の手続きなど
・地域包括支援センター:高齢者の日常生活に関する困り事や介護予防に関する相談など
・都道府県労働局、雇用環境・均等部:育児・介護休業法に関する相談など
・ハローワーク:介護休業給付の申請手続きなど
参照先URL
介護サービス情報公表制度:http://www.kaigokensaku.jp/
地域包括支援センター、介護サービス事業所を検索できます。
介護の地域窓口:http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/madogu
市町村の介護に関する窓口です。
育児・介護休業法のあらまし:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000011
介護休業法の概要、対象となる従業員、手続き方法など、制度ごとにリーフレットにまとめてます。
厚生労働省ホームページより