多くの病院や施設でも取り入れられるSOAPですが、正しく記録できているのか自身がないと感じている方も多いのではないでしょうか?看護記録や介護記録、リハビリ記録などの記入形式として「SOPA」が採用されています。
SOAPは、それぞれの記載項目を正確に記載し、正しく評価することで、最適な治療計画の立案にも繋がります。
また、カルテ記載をしっかり行うことで何かトラブルが起きた時もカルテ記載がしっかりできていれば未然に防ぐことができます。
それだけではなく、医療・介護はチームが大切です。その中でも老健や回復期病棟などは在宅復帰に向けて支援すると思います。特に老健は病院と違いリハビリの回数なども決まっているため介護や看護と連携していかないと在宅復帰に向け支援しているのに家に帰れない・・・なんてことも。そうならないためにもチームが同じ目標に向けて利用者さんや患者さんのサポートや支援をしないといけません。
ここではカルテ記載の目的、SOAPについて理解した上で記載ポイントを紹介したいと思います。
カルテ記載の目的
医療や施設での現場では記録を残すことも業務内に入っていると思います。なぜ必要なのか?目的は?カルテ記載の重要性をここではお伝えします。
法律上の義務
医師も、医師以外の医療従事者においても記録をカルテという形で残す必要があります。
厚生労働省が作成した「診療情報の提供等に関する指針」によると患者や利用者本人やk族に希望された場合、医療従事者は原則カルテ開示に応じる必要があります。きちんと応えられるためにも日々のカルテ記載をしていく必要があります。医療は人対人のため何かトラブルに巻き込まれた時に自分の身を守る手段になります。
カルテの必要性
カルテには現在に至るまでの患者の状態とそれに対して提供されてきた医療行為、及びその根拠に至る分析や考察の経緯が時系列で記録されます。カルテには、見ればその人の必要な情報がすぐにわかる機能が求められます。
コロナなどの感染などで急に担当が休んだ際など、申し送りがなくてもカルテの記載を見れば今までのリハビリ記録や入院に至るまでの記録がわかります。カルテ記載に求められるものはこのように今までの経過が誰がみてもわかるという点だと思います。
診療報酬請求の根拠になる
医療や介護における保険診療において、診療報酬明細書(レセプト)に記載されることの根拠は全てカルテ記録に求められることです。
監査が入り、不備があると行政指導等で多額の返還を求められることがあります。
カルテ記載は大変な作業ですが、以上のようにカルテ記載は目的が明確にあるのでしっかり記載してしょう!
今の職場は紙カルテで部署ごとにカルテ管理をしています。なので担当利用者さんがリハビリ以外で何かあった時や、看護記録や申し送りなどでいつもと様子が違うときなども細かくカルテに残すように私はしています。
SOAPとは?
多くの医療機関や施設で使用されている問題志向型のカルテ記載方法です。医師や看護師、リハビリ職(PT・OT)が患者さんや利用者さんの記録を作成するために用いられます。患者さんや利用者さんから得た情報を基に問題点を抽出し、そこから治療計画を有効です。
SOAPを構成する項目は以下の4つです。
S:subjective 主観的情報 患者さんが訴えている情報 例)息苦しい 膝が痛い
O:object 客観的情報 検査、観察、診察で得られる情報 例)血圧、脈拍など
A:assessment 評価 S,Oを踏まえた分析と考察した経緯と評価のこと
P:plan 計画(治療) Aに基づく治療方針、看護計画やリハビリ計画など 例)去痰薬の吸入
S(subjective):主観的情報
Sは主観的情報として、主に患者さんや利用者さん本人の訴えをそのまま記載します。
・主訴・痛みの有無やレベル・非言語的な訴え など
O(objective):客観的情報
Oは主観的な情報を排除し、客観的に事実に基づいた内容のみ記載します。
・バイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸・体温・Spo2・意識レベル) ・治療方法 ・機器の種類 ・検査方法 ・その他確認できる異常所見
A(assessment):評価
Aは上記のS(主観的情報)とO(客観的情報)から患者さんや利用者さんの状態を評価します。
・患者さんや利用者さんの状態 ・身体・精神面の変化 ・治療効果
P(plan):計画
Pはアセスメントした内容から今後の計画を記載します。
・治療方針の変更有無 ・治療方針の変更内容
SOAPの書き方のポイント
SOAPは、それぞれの項目を正確に記載することで効果を発揮します。SOAPは本来対象者の経過記録を書くものなので、記録する時には対象者の基礎データの収集・分析・問題抽出が不可欠です。その上で明確になった問題点にどうアプローチしていくか、していったかを書いていく必要があります。どこも電子カルテになっていることも多いです。様々な職種が関わる医療介護の分野では、SOAPを記録の共通のツールとして用いることで、他職種との連携や情報伝達がスムーズになるだけでなく、医療や介護チーム全体で同じ目標に向けアプローチできると思います。SOAPを活用してカルテ記載する準備として、普段から気をつけたいポイントを紹介します。
患者さんや利用者さんの声は正確に残しておく(メモなどに細かく残す)
SOAPに限らず、カルテ記載する内容は正確な情報でなければなりません。間違った情報を記載してしまうとその後の評価や治療に大きな影響を及ぼします。評価や治療をするうえで、患者さんや利用者さんの主訴はとても重要です。普段から患者さんや利用者さんの声に耳を傾け、ニーズやデマンド、痛みの有無を聞き漏らさないようにしましょう。
事実に焦点を当てる
カルテを記入する際は、気をつけていても主観が入ってしまうことがあります。例えば「可動域は正常範囲内」といった記載です。こうした情報は、「肩関節屈曲0〜170°」と評価した数値は細かく記載しましょう。表情もどのような表情で発話はあるのか?いつもと比べて多いのか少ないのか?など細かく表現することで客観的情報になります。治療効果を高めるためにも、事実に焦点を当てることが大切です。
わかりやすく簡潔に書く
SOAPは誰がみても理解できるように簡潔に書くことが大切です。セラピスト間で共有するのはもちろん、医師や看護師が閲覧することもあります。医療は他職種との連携も大切になります。また、希望によりご家族にも開示する場合があるので誰がみてもわかるように、ポイントを絞って簡潔に記載するようにしましょう。
整合性を保たせる
4つの項目を関連づけて治療計画を立てていくため、整合性を保たせることが大切です。SとOに記載した情報から考えられることのみをAに記入し、余計な情報は記載しないようにしましょう。十分な情報を揃え、SとOとAの整合性を保たせることで最適な治療計画が立案できると思います。
書き方を理解して上手に活用しよう
SOAPは慣れるまで記載するのに時間がかかったり、主訴の正確性が患者さんや利用者さんとの信頼関係に左右されたりするなどデメリットがあります。一方慣れてくると業務の効率化や根拠を基にした治療が可能になるなどメリットがあります。医療介護での連携がしっかりはかれてチームが同じ方向を向くことでより患者さんや利用者さんのためにチームでサポートや支援ができると思います。それだけではなく、自分の身も守ることに繋がります。
SOAPは理解した上で日々の業務に活かしていきましょう!