在宅や介護現場で介助を行う際につい「しっかり支えないと」と必要以上に介助してしまっているケースも多いのではないでしょうか?
在宅訪問や通所、介護施設で働いてみて介護する人の過剰介助を目の当たりにして、リハビリ職としては何度も伝えたり、紙面に分かりやすくやり方を書いて渡したりと工夫して繰り返し伝えることが大事です。
介護介助する側もされる側も必要以上の介助をしてしまうとお互いがしんどくなります。それは介助する側は労力を使い、介助される側は自分が動きたい動きと異なるため動きにくくなるうえに依存してしまうため出来る動作もが出来なくなるなります。
このような悪循環にならないためにも過剰介助の基本ポイントを紹介したいと思います。
過剰介助とは
過剰介助略して過介助とも言います。過剰介助は介護者ができないことを支援するのではなく、できることまで必要以上に支援してしまう介護のことです。介護保険制度には「自立支援」の考え方があり、過剰なサービス提供は対象者の自立の機会を奪い、筋力や認知面能力の低下を招くことです。
過剰介助が望ましくない理由
過剰介助は本人の残存機能を発揮する機会を奪うことになります。上記でも述べましたが、過剰介助が続くと筋力や体力などの身体機能面の低下に繋がります。身体機能面が低下すると出来ていた動作ができなくなります。身体面だけではなく精神面(認知面)も低下してしまいます。見当識が低下し始めてる人に対して、職員が「3時のおやつの時間ですよぉ〜」と教えてしまうと、時計を見て時間を確認するなどの機会を奪ってしまいます。
また必要以上に介助をしてしまうと介助する方は労力を使い、介助される方はかえって動作がしにくくなります。本人様の動きやすい動き方と介助されて行う動きが異なるのでお互いがしんどい思いをしてしまいます。
過剰介助にならないようにする介護の基本ポイント
できることは本人にしてもらう
能力を維持するためにも、できることは本人にしてもらうことが大切です。本人がどこまでできるのかを見極め、必要最小限の介助を心がけましょう。
その際に本人様自身が行えるように能力に応じて自助具なども活用しできるだけ本人様自身に行ってもらうことで生活動作を維持することができます。
身体面と精神面での過剰介助の防止
身体面の過剰介助予防ばかり目が向きがちですが、精神面・認知面の過剰介助予防も重要です。
必要最小限の介助は介助される側も介助する側も楽になる
利用者さんや患者さんによっては必要以上の介助によってかえって動きにくくなってしまうこともあります。それはなぜかと言うと、患者さんや利用者さん自身が動きやすい動き方と介助されて行う動き方が異なるからです。
利用者様や患者様本人の生活、人生を支える視点から判断をしよう
介護サービスの大きな目的は、利用者様の自立支援です。つまり介護はその人の生活・人生を支援するサービスです。「何を大事にするべきか」を総合的に考慮して介護や介助することが大切です。本人の生活や人生での優先順位を考えて判断することが大切になってきます。
利用者様や患者様本人の主体性を尊重する
やってあげるのではなく、本人様が自らやることを介助することが大切です。
一つの動作をいくつかの段階に分け、それぞれできているかを観察することで本人の残存機能を確認できます。食事であれば・机の前に座る・食べ物を口に運ぶ・噛んで味わう・飲み込むといった感じに分けて動作の評価を行います。うまくできない時にはやってあげる前に一人でもできる方法を一緒に考えましょう。(例えば持ちやすいスプーンに変える、救いやすい器に変えるなどの本人様がやりやすい自助具の活用)
自分で選択できる環境を作る
一人で難しいと思われる動作にも、ちょっとした工夫を考えて無理なくできる方法を見つけうことが大切です。声かけや待つことを意識し、焦らず余裕を持たせながら自分自身で選択させて行動してもらいましょう。
生活動作の獲得により一人でできることを増やしていけば、自信を持てるようになり次への活力となります。
楽しみや目標を作りながら、自ら動ける機会を作りましょう。
今を知るところから
被介護者の今の現状を知ってまとめておくと、話がスムーズに進みます。それぞれの項目を確認して、現状を整理しましょう。
今どんな状況で暮らしているのか
間取り・階段や家族構成など、どんな住環境で暮らしているのか確認しましょう。また、家族による介助はどのくらいまでできるのか把握しましょう。
利用者様や患者様がどんなことまで不便に感じているか
入浴・着替えや食事、買い物など日常生活において被介護者が難しいと感じているものを買い出しましょう。介護をしている家族の困りごともまとめておくことが大事です。
介護者がどんな時にどんな手助けをしているか
介助が必要な時に、家族はどんな介助をしているのか把握が大事です。介護される側の症状を詳しく伝えることで、適切な介護ができていたかを知ることが出来ます。
まとめ
家族を介護していると責任感からついお世話をしすぎたり、介護士は時間がないや忙しくてつい手伝い過ぎてしまうかもしれません。ご本人とも話し合い、本人様の思いを尊重して寄り添うことで適切な対応をすることも出来ます。また、リハビリ職はしっかり評価してどこまでは本人様自身が行えるのかを介護や家族へ説明や分かりやすいように紙面で渡すなど工夫や一人でも行えるよう環境調整、自助具の検討などをする必要もあります。介護される側もする側も楽になるうえ、自立支援もサポートできると思います。しっかり本人様やご家族様、ケアマネ、介護士、看護師などチームで方向性を確認しながら支援していくことが大切になると思います。