在宅リハビリや通所、回復期や老健など施設で働くリハビリ職の方はどれだけ本人様が出来るのか評価して、家族負担軽減や本人様が筋力や可動域に制限があっても出来るように自助具などを使って自分でいかに行えるかが今後の活動量や在宅生活を継続できる鍵になってくると思います。
もちろん、運動療法で筋力向上や可動範囲拡大など身体機能面の向上も大切だと思いますが、できない部分を楽に行えるように指導や方法の工夫も大切です。
自助具とは、自らを助ける道具という文字通り、日常生活で必要な動作を自分で行えるようサポートする用具のことです。
自助具とは
福祉用具には病気や加齢により、身体に何らかの障害を抱える方の自立や、介護する方の負担を軽減する役割があります。
そんな福祉用具の中でも、身の回りの動作をなるべく自分でできるように補助するのが自助具と呼ばれる道具です。
自助具には、食事や入浴、着替えなど生活する上で基本動作や歯磨きや爪切り、髪を整えるなど身だしなみを整える動作、自分でより簡単に行えるよう支援します。
過剰介助の予防や工夫して自分ができることが増えれば活動量の低下を予防でき生活維持に繋がります。過剰介助によりお互いが疲れたり、危ないからと制限をしてしまうと活動量が減るだけでなく、閉鎖的になり出来ないことが増え意欲だけでなく、生きる気力も低下し悪循環になります。
自助具には主に、麻痺や関節が固くなるなどして、手足が自由に動かせなくなり、日常生活を送ることが難しくなった人のために制作されるものです。
生活シーン別に一体どんなものが使われているのか、自助具の種類についてみていきましょう。
食事
高齢者や身体に障害を抱えた方など、体を積極的に動かすことが難しい方にとって、食事は数少ない楽しみの一つです。
そのんな食事用の自助具には、持ちやすいようなお箸、握る力が弱くても持つことができるスプーン、救いやすいように加工されたお皿や倒れにくいように滑り止めマットや茶碗などあり、自分のペースで美味しくご飯が食べられるようにサポートしてくれます。
握りやすいグリップ太柄スプーン・フォーク
握る力が弱い方や細かい動きが難しい方も太くて弾力のあるスポンジゴムのため楽に握ることができます。グリップの太さも色々あるようなのでその方に合った太さを選んでみてください。
100均などの滑り止めを普通のスプーンなどに巻いて握り易いように工夫するのもいいかと思います。
ウィルスプーン・フォーク
握力が弱い人や手首の動きが動かしにくい人にオススメでグリップ(柄)部分がお湯に入れると柔らかくなり自由に形を変えることができるので使用する方の変形の程度や状態に合わせ使いやすい形に変えることができます。何度でも形を変えることができます。
すくいやすいお皿
片麻痺の方や動きに制限がある方や力が弱い方はなかなかご飯を救えない方が多いです。お皿から救うときに落としてしまったりすることも多いので、すくいやすいお皿があると片手でも楽に行えます。お皿の下に滑り止めマットなど敷いておくと更にすくいやすくなると思います。
入浴
入浴は水で滑る危険があり転倒リスクが比較的高い場所です。家族や介護者が危ないからと遠慮して控える方も少なくありません。
そんな方のために存在するのが、シャワーいすや浴室の手すりなどの自助具です。
これらの自助具は、安全に入浴できる環境を整えてくれるほか、介護者の負担を軽減にもつ長るため、入浴のハードルを下げるのに役立ちます。
柄が長いヘアーブラシ
腕が上がりにくい(肩や肘に可動域制限や筋力が弱い)方や呼吸疾患がある方におすすめです。
身体を洗うのは、100均の長めのボディタオルでも良いかと思います。
足裏を洗うのは柄の長いブラシを使用するのがおすすめです。置くタイプはセッティングや片付けなどをしてくれる家族やスタッフがいれば問題ないかと思います。
排泄
なるべく自力で排泄行為を行いたいと考える人も多く、家族もトイレが一人でいければお家に連れて帰るという家族も多いです。
自助具としては、片手で使えるペーパーホルダー、立ち座りがしやすいような高さを出す便座カバーなどがあります。
便座高さが低い場合は据え置き式
下肢筋力が弱い方や痛みがあって立ち上がりにくい方、便座が低いと立ち上がりにくいので据え置き式で便座高さを高めにすると動作がしやすくなります。
片手で切れやすいトイレットペーパーホルダー
更衣
着替えは毎日行うものですから、それにかかる時間やストレスは少しでも減らしたいもの。
高齢者や麻痺、リウマチなどがある方にとって特に難しいのがボタンかけや靴下を履くのを手伝ってくれる器具となっています。
着脱しやすい服に変えたり(ボタンがマジックテープのもの、伸縮性のある服、袖口が広いものなど)、着替えを自己にて行えるような自助具としてボタンエイド、ソックスエイドなどあります。
ソックスエイド
足に可動域制限がある方や手術後(人工骨頭置換術・圧迫骨折)で禁忌動作などある方、妊婦さんや腰痛持ちの方など足先まで手が伸ばすことができない・前屈み姿勢が取れない方をサポートする自助具です。
膝や股関節、腰部の手術後の方は病院でリハビリ職員が作ってくれると思います。
ボタンエイド
細かい動きができない(可動域制限・筋力低下)方や高齢者の方や、片麻痺の方などにオススメです。
整容
爪切りや歯磨き、整髪など身だしなみを整えることです。
身体を動かすのが難しくなってくると、外に出る機会が減り手をかけなくなることが多くなります。身だしなみをしっかり整えることは、病気や認知症予防、活動性の維持などにも繋がります。
片手でキレる爪切り、手を持ち上げなくても使えるクシ、歯ブラシなどの自助具を使えば、その動作を容易にすることが可能です。
自分に合ったものを選んだり、練習したり、自助具をより効果的に活用
まとめ
自助具は、病気や加齢により、身体に何らかの障害を抱える方の自立や、介護する方の負担を軽減する役割があります。また、過剰介助や介護側の声掛けに本人様が閉じこもってしまうとで外出機会や活動量が減りさらなる身体機能面の低下など悪循環を引き起こします。
少しの期間でも、活動量が低下すると高齢者は一気に身体機能面の低下だけでなく社会との関わりも減ることや役割がなくなることで認知面の低下も進行します。そのような状況にならないためにも自立した支援ができるようなるべく出来ることは行なってもらう事が大切です。
今回は施設でよく使っているもの、通所や訪問の時に使用していた自助具を紹介しました。まだまだたくさんの自助具があるので、その方が困っている動作に合わせて身体的な改善が難しければ自助具などを利用した工夫や方法を試行錯誤して楽に自己にて出来ることを増やしてあげること=自立支援を目標に行いましょう。
出来ることが増えることでモチベーションや生きる意欲、在宅での生活の継続、活動量などの改善が見られると思います。