長時間のスマホやパソコン操作により姿勢が悪くなり肩や腰の痛みを訴える方が老若男女問わず増えているように感じます。
悪い姿勢が習慣化すると、将来腰痛や片頭痛などどんどん症状が悪化して痺れや痛みが強くなる原因になります。そうならないためにも、正しい姿勢で作業できればいいですが、どうしてもだれてきて癖で腰が痛くなるような格好で作業してしまったりすることのほうが多いのではないでしょうか?私も、分かっているのについつい王様座りなどで書類業務をしちゃいます。
ここでは、姿勢についてとストレッチポールでの効果を紹介したいと思います。
姿勢について
スマートフォンの普及により、日常的に使いすぎている人が多いと思います。この使いすぎで姿勢が崩れ肩こりや腰痛、頭痛などの原因になりつつあると言われています。スマホ操作や長時間のパソコン作業などに猫背やストレートネックなど筋肉が緊張させてしまうことでこりや神経症状(胸郭出口症候群など)、痛みの出現の原因より姿勢が悪くなったと感じている方も多いと思います。
正しい姿勢とは
横から見た時に、くるぶし(外果の前方)、膝関節の前方(膝蓋骨後面)、大腿骨(大転子)、肩峰(肩関節前方)、耳垂の後ろ(乳様突起)の位置が一直線上に揃っていて、背骨の生理的湾曲(背骨カーブ)が整っている(かつ無理なく取れているのが理想)。頸椎は前カーブ(前弯)、胸椎は後ろカーブ(後弯)、腰椎は前カーブ(前弯)で骨の模型など見た方はわかると思いますが、全体としてS字状のカーブを描きます(生理的湾曲)。これのおかげで背骨に負荷(重力)を分散されます。
背中から見た時は、後頭部(後頭隆起)、背骨(椎骨棘突起)、お尻の割れ目(殿裂)、両膝関節内側の中心、両内果(内くるぶし)の中心が一直線になる姿勢。
⬛︎ 簡単にチェックする方法 ⬛︎
壁に背中をつけて、顎を引いて立った時に、頭・肩甲骨・お尻・ふくらはぎ・踵がつけばOK!
腰と壁の隙間が手のひらの厚みより大きい場合は、猫背・反り腰
後頭部が壁と離れて、腰と壁の隙間に手が入らない場合は、フラットバック
肩甲骨しか壁につかない場合はスウェイバック
悪い姿勢とは
悪い姿勢は、正しい姿勢から逸脱した姿勢で、猫背や反り腰など言われたことがある人もいると思います。長時間同じ姿勢(特に悪い姿勢)を続けたることで血流も悪くなりこりや可動域制限につながり、知らないうちに負担がかかってきて腰や首に痛みや痺れなどにつながってきます。
半数以上の人が「体を動かす時間(通勤通学時間や運動)の減少に伴い、姿勢が悪化した」と回答。- 姿勢が悪い人は、姿勢が良い人よりも体の不調を感じる割合が約2倍に。「肩こり」「疲れやすい」など、姿勢の悪化は慢性的な身体的不調に。
- 姿勢が悪いことによる弊害は知っていても、「集中力のアップ」や「腸内環境の改善」などのメリットは6割前後の人が知らないことが明らかに。
- 現在姿勢改善に取り組んでいる人は、わずか14.8%。取り組んでいる人でも、5人中4人は「自分の姿勢状態を正しく把握していない」ことが判明。
- 姿勢改善には「ストレッチ」や「整体」が効きそうというイ1メージはあるものの、7割以上の人が「自分が何から着手すべきか分からない」と回答。
※調査結果サマリー 株式会社ディップス <2023年最新 姿勢に関する意識調査> 半数以上の人が、コロナ禍での姿勢の悪化を実感!一方、姿勢改善に取り組めている人はわずか14.8%
ストレッチポールとは
ストレッチポールは円柱状のツールをヒントに日本のアスレティックトレーナーが開発したエクササイズのツールです。円柱状の上に寝転がりエクササイズを行うことで、老若男女問わず簡単にセルフケアできます。短時間使用するだけでも姿勢や骨格を整えたり、筋肉を緩めたり、呼吸が深くなる・リラックスできるなどの効果が期待される器具です。
今では、病院やトレーニングジム、整骨院など様々な場面で目にする機会が増えています。また、スポーツ選手のセルフケアアイテムとして多くの人が使用しています。スポーツ選手だけでなく、モデルの方もセルフケアとして活用している人が多いそうです。
ストレッチポールの効果
・筋肉が緩む:何かに集中しているときは、前かがみの姿勢になりやsく、その際身体の前面の筋肉は緊張しています。前面の筋肉の緊張が強い場合、肩や背中が床から離れ、少ない面積に集中して体重がかかります。これは自然は状態とは言えず、常に身体に力が入り続けてしまいます。ストレッチポールに寝てゆっくり呼吸をすることで、胸や肩、太ももといった緊張しやすい筋肉が腕や足の重さで自然とストレッチされます。無理に伸ばすのではなく、自分の重さで自然と緩んでいくことが大切です。
※広島国際大学 浦田和芳氏らの研究データを元に再現
・背骨が整う(正しい状態へリセット):背骨は、S字カーブを描くことで身体を無理なく支えられるように作られています。ところが、前かがみ姿勢や、足を組む、カバンを持つといったくせによって背骨のS字カーブが崩れてしまいます。
ストレッチポールに仰向けで寝ると、頭蓋骨の後ろ、、胸椎(肩甲骨あたりの背骨)、仙骨の下方(骨盤の後ろ)の3点のみがストレッチポールにあたり、下から押される形になります。これにより丸まっている背中は適度なカーブに戻り、反り腰は改善され、骨盤は適切な角度になります。
※「ストレッチポールを用いたコアコンディショニングの短期効果に関する実験的研究2;健常者における立位矢状面脊椎アライメント及び柔軟性に及ぼす効果」杉野信治ら(2006)
・呼吸が深くなる:前屈姿勢は肋骨周りを動かしにくくします。すると、肺の空気を取り込みにくくなり、呼吸が浅くなってしまいます。浅い呼吸は酸素が全身に行き渡ることを妨げ、血流の減少、疲労の増大など様々な問題を引き起こします。ストレッチポールに寝ると背中のみで身体を支えることになり、肋骨が開きやすくなります。そこでリラックスして呼吸をすることで、より大きな呼吸をすることができます。
※「ストレッチポールを用いたコアコンディショニングの即時効果に関する対象試験ー健常者呼吸機能への影響ー」秋山寛治ら(2007)
・副交感神経優位になる:夜遅くまでパソコンやスマートフォンを使用するような生活をしていると、交感神経ばかり優位に働くようになります。すると、常に興奮状態でいることとなり、疲労やストレスを蓄積してしまいます。ストレッチポールの円柱形のため、わずかな揺らぎが得られます。さらに、筋肉を緩め、呼吸をしやすくする働きがあるため、副交感神経優位になりやすく、体がリラックスモードになるのです。
※「前胸部のストレッチングが背部の感覚に及ぼす影響」増田敬子(2013)
ストレッチポールの効果 EFFCT ホームページより
ストレッチポールの使い方
基本姿勢
ベーシックセブン
ベーシックセブンとは、股関節・骨盤・肩甲骨・肩の関節を回す7つの動きのこと。 基本ポーズのとき、ポールストレッチ上では、頭・胸の真下・仙骨(せんこつ・お尻と腰の間くらい)の3点のみが接点なので、ほぼ体が中に浮いた状態になっています。
これを行うことで下記の文献結果より骨盤前傾が減少傾向にあったそうです。また脊柱起立筋がリラクゼーションが得られ、脊柱のアライメントが直立化したことにより、体幹の海鮮運動左右対称にしやすくなったそうです。
さらに胸郭可動性が改善され拡張性が増加することで、肩関節の可動域が拡大するなど上半身の動かしやすさだけでなく深い呼吸につながり、体が疲れにくくなることも期待できます。深い呼吸になると、新鮮な酸素を体内に取り込まれるので血流改善、代謝が上がり、こりの改善にも期待できると思います。
ストレッチポールによる“ベーシックセブン”の即時効果として,骨盤前傾が減少する傾向にあった.ストレッチポール上に背臥位となることによって仙骨を後傾し,“ベーシックセブン”を行うことによって多裂筋をはじめとする脊柱起立筋群がリラクゼーションすることが期待できる.このことから即時的効果として立位姿勢において骨盤後傾位とつながったと考えられた.歩行時においてSP群ではステップ長の左右均等化していたことから,脊柱起立筋群を含めた筋のリラクゼーションが得られ,脊柱のアライメントが直立化したことにより,体幹回旋運動も左右対称に行いやすくなったことが要因と推察される.しかしながら立位姿勢における骨盤前傾の減少という変化が歩行の測定項目に反映されていなかった.今後は継時的に観察することにより,歩行へ影響を及ぼす要因についても検討していきたい.
今回,健常者を対象としたストレッチポールによるエクササイズの即時的効果について検証し,立位姿勢や歩行時における左右差の相違を解消する手段になり得ることを示唆した.ストレッチポールを用いたパッケージ化されたエクササイズは,理学療法士の経験にとらわれることなく,ある程度の効果を得られることから,適応を考慮した上で.基礎的エクササイズとして活用できる可能性があると考える.
※ストレッチポールを用いたコアコンディショニングが立位姿勢,体幹可動性,および歩行に与える即時的効果 射越舞子、横山茂樹
本研究はベーシックセブンの効果を明らかにすることを目的とした.健常男性に対してベーシックセブンを行った結果,体幹後屈可動域および体幹背面床接地面圧に対する上部体幹床接地面圧比が即時的に増加した.圧分布の変化について典型例を図2 に示す.ベーシックセブンによる身体への変化は,他にも生じている可能性はあるが,少なくともこれらの項目に対する影響は大きかったと考えられる.ベーシックセブンは胸郭拡張性を増加させることが確認されている6)。体幹可動性は胸郭により制動されており8,9),胸郭の可動性が増加したことで体幹後屈角度の増加が得られたものと考えられる.全体幹床接地面圧に対する上部体幹床接地面圧比については,本運動で上部体幹そのものの質量が変化するとは考えにくいことから,背臥位における胸郭の可動性改善により接地面積が増加し,頸部および腰部の筋緊張が緩和したことが増加につながった可能性が考えられる.本研究の介入群では,およそ10 分間のストレッチポールを用いたエクササイズの結果,体幹後屈可動域および全体幹床接地圧に対する上部体幹床接地圧比が,それぞれ6.3 ±6.4°,2.9 ±2.2%改善した.Yokoyama ら6) は,1 日2 回,1 週間ストレッチポールを用いたエクササイズ
を行うことで,胸郭の可動性が向上すると報告した.本研究におけるアウトカムの改善は僅かであったが,継続することでより大きな効果が期待できる.本研究の結論は,「ベーシックセブンにより体幹後屈可動域および全体幹床接地面圧に対する上部体幹床接地面圧比が増大する」である.今後は,より大きなサンプルサイズにおいて実際に腰痛の発症・再発の予防に対する有効性を検証していく必要がある.
※ストレッチポールを用いたエクササイズが健常男性の体幹後屈可動域及び背臥位圧分布に及ぼす即時効果:無作為化対照研究 伊藤 一也1) 増田 圭太2) 蒲田 和芳 理学療法科学 28(6): 829–832, 2013
まとめ
現代人は悪い姿勢になっている方が多いと多います。悪い姿勢が習慣化すると痛みや痺れの原因になり片頭痛にもつながってきます。
長時間のパソコン作業やスマホ操作をする方、長時間同じ姿勢での作業を行う方は要注意です。
悪い姿勢になっている方は、ストレッチポールを使用して
・凝り固まった筋肉をほぐす
・背骨のアライメントを整える
・深い呼吸ができるように
・副交感神経優位に
上記の効果をもたらすと、・血流の改善・睡眠の質の向上・アライメントを整えることで正しい姿勢へ・肩や腰痛の痛みや痺れの軽減・可動域の改善が期待できます。簡単にできるのに効果が抜群です!
ぜひ、スポーツをしている方や同じ姿勢での作業をしている方はストレッチポールでにセルフケアはオススメです。簡単に自分で行えるのに時間もそんなにかからないので!
元々、反り腰で右臀部坐骨神経痛、胸郭出口症候群で両手痺れ、腰痛(ヘルニア手前)、肩こりからの片頭痛がひどかったですが今は痛みも痺れも出てません。もちろんストレッチポールだけでなく、ストレッチも欠かさずしています。
※痛みや痺れが強い場合は、病院受診を勧めます!整形外科でも、リハビリがある場合は運動指導などが入ると思うのでまず先に受診で状態を把握した方が良いです。